研究課題/領域番号 |
15K03223
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
荒谷 裕子 法政大学, 法学部, 教授 (80125492)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | コーポレート・ガバナンス |
研究実績の概要 |
平成27年度は、5月に施行された会社法、および6月に適用されたコーポレート・ガバナンス・コードに関する新しい制度について、実際、実務に与えた影響について聞取り調査等を行うとともに、これに基づく問題点の整理・課題について検討を行った。具体的には、会社法研究者だけでなく、弁護士・会計学の研究者・企業のCEOなどで構成される研究会において、各界からのコーポレート・ガバナンスに関する今改正の評価と会計学の視点から見た会社法と金融商品取引法の融合の可能性と課題について議論を行った。また、上場会社の監査役、監査役スタッフ、アナリストおよび公認会計士から会社経営者を監査・監督する者の視点から見た現在のコーポレート・ガバナンスのあり方および問題点について、意見交換・ヒヤリング調査を行った。その結果、想像以上に、新設された制度、具体的には、監査等委員会設置会社への移行が進むと共に、社外取締役の導入が加速したことが判明したが、その詳細な分析と評価には、時間を要することから、事実の確認と検討を行うに今年度はとどまった。 なお、比較法研究としては、当初の予定通り、フランスにおけるコーポレート・ガバナンスの動向に関する文献収集を行うと共に、フランス判例研究会において、コーポレート・ガバナンスを中心とする機関に関するフランスの判例研究を行った。なお、フランスでは、フロランジュ法を用いて国内産業・国内雇用を維持する動きが加速しており、グローバル化する企業運営の中で、日本企業がどのような影響を受けるのかについても、合わせて研究を行ったが、2016年度に初めてその効果が現れることから、その動向についての調査および問題点の指摘等は、次年次の課題として継続研究をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フランスに現地調査に行く予定であったが、テロが多発し、治安状況が良くないため、フランス法とのコーポレート・ガバナンスの在り方に関する比較法的研究が予定通り進捗しなかった。また、企業のコーポレート・ガバナンスのあり方についても、会社法とコーポレート・ガバナンス・コードという2つの方面からの規整が同時進行したため、企業側の対応に混乱がみられ、十分な調査・検討ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
フランスおよびアジア特に、中国におけるコーポレート・ガバナンスの規整の方向性について検証を行うとともに、わが国の今後の規整のあり方との比較検討を行う予定である。 平成28年度は、改正会社法施行およびコーポレート・ガバナンス・コード適用2年目ということから、新しい制度設計が更に定着するか、ゆり戻しがあるのか見極めの年になると思われることから、特に監視・監督規整の側面からガバナンスの在り方に関する実務の課題について検討し、問題点を明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張および国内での調査出張を予定していたが、危機管理上の問題等から出張ができなかったこと。 必要な書籍が、法改正初年度ということもあって十分出版されていなかったため購入できなかったこと。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していた海外出張(フランス・中国におけるコーポレート・ガバナンスの規整のの状況について、企業および監督官庁・研究者との意見交流とヒアリング調査)、および地方企業および公認会計士・税理士等から、コーポレート・ガバナンスに対する規整の浸透および今回の法改正の課題等についての聞取り調査を実施する予定。 フランスおよび日本のコーポレート・ガバナンスに関する書籍の購入。
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