研究課題/領域番号 |
15K03224
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山本 研 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (90289661)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 倒産法 / 事業再生 / 事業再生ADR / 倒産ADR / 早期事業再生 / 裁判外ワークアウト / 連邦倒産法 / プレパッケージ |
研究実績の概要 |
1 研究目的 本研究においては、裁判外ワークアウト(法的手続開始前の事前調整)の活用による、事業再生の迅速化・効率化という観点から、この点について先行的な取り組みがなされてきたアメリカ法を比較法的検討の対象として、最新の議論状況・実務における運用状況等をふまえて総合的に検討することを通じて、わが国における立法論、さらには、事業再生の促進に向けた解釈論・運用論という側面において寄与することを目的としている。 2 本研究の実施状況 平成27年度より引き続き、本務校における特別研究期間制度を利用することにより、University of Wisconsin Law Schoolを研究拠点として、アメリカにおいて調査研究を実施した(至:平成29年3月上旬)。同ロースクールに客員研究員として滞在し、文献資料の収集・分析をすすめるとともに、倒産実務に詳しい同ロースクールのMegan McDermott教授からのアドバイスを得ながら、連邦倒産法の分析を進めた。 また、倒産実務の運用状況を知るために、シカゴおよびロサンゼルスの法律事務所にビジティング・リサーチャーとして滞在し(シカゴ:平成28年5月~6月、ロサンゼルス:平成29年1月)、弁護士等の実務家から、それぞれの地域における倒産実務の運用状況等について聞き取り調査を行うとともに、シカゴおよびロスの倒産裁判所を訪問し、倒産裁判所における事件処理実務についても調査する機会を得た。 こうした研究調査を踏まえ、平成28年11月には、UW-Law School East Asian Legal Studies Center 主宰のVisiting Scholar Seminarにおいて研究報告の機会を与えられ、本研究課題に関する報告を行い、同ロースクールの教授等から有益なコメントおよびアドバイスを得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アメリカ法に関する調査研究については、研究テーマに関する概括的検討(総論部分)が中心となり、関連する具体的制度の分析(各論部分)については、若干の遅れが生じている。 その理由としては、本研究課題の各論部分をなす個別的な制度、および論点について検討を進めるにあたっては、その前提として、1978年の立法以降、数次にわたる改正を経てきた連邦倒産法の現状(とりわけ、2005年の大改正の影響、および2007年の経済不況後の運用状況の変化)について正しく把握することが必要であるとの認識に至り、この点を念頭に連邦倒産法全体についての現状把握に取り組んだため、個別の制度等についての各論的検討については若干の遅れが生ずることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
アメリカにおける調査結果を踏まえ、まず、先行して検討を進めてきた総論的部分について、「アメリカにおける早期事業再生の手法」として、公表する予定である(上野泰男先生古稀祝賀記念論文集『現代民事手続の法理』(弘文堂、平29年)所収)。 その後引き続き、各論部分をなす具体的制度について個別的な分析をすすめ、検討結果を順次論文にまとめて公表することを予定している。具体的には、まずは事前調整型の事業再生手続のわが国におけるあり方について検討するものとして、私的整理(事前調整手続)と倒産手続の連携のあり方に関する論考を予定している。 また、以上の研究推進にあたり、補充的調査(文献補充調査、およびアメリカにおける実務家等との意見交換・ヒアリング)の必要が生ずることが見込まれるため、本務校の夏期休業期間を利用してシカゴおよびウィスコンシン(マディソン)を訪問し、調査を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2017年1月8日から17日にかけて実施したロサンゼルス出張旅費につき、2016年度予算の残額が不足したため、経費の一部(宿泊費分)を2017年度予算による清算に繰り越したため、2016年度予算については、若干(7,245円)の次年度使用額が生ずることとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
上述した2017年度予算に繰り越した、ロサンゼルス出張経費の一部に充当する。
|