研究課題/領域番号 |
15K03228
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鳥山 恭一 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80164078)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インサイダー取引 / 内部者取引 / 欧州連合 / フランス企業法 |
研究実績の概要 |
欧州連合の内部者取引の規制は、「市場濫用」の規制の一環として、従来の2003年1月28日の規則2003/6/CEに代えて、2014年4月16日の規則(UE)第596/2014号および2014年4月16日の指令2014/57/UEが制定され、前者の規則は2016年7月3日から適用され、後者の指令も2016年7月3日までにその規定を国内法化することが構成国に義務づけられていた。2016年度は、そうした欧州連合の内部者取引規制にかかわる欧州連合司法裁判所の判決をとくにフランスおよびドイツの国内法との関係において検討し、その成果を以下に掲げる2本の論文として公表した。 「欧州連合の内部者取引規制における伸展事象の内部情報――欧州連合司法裁判所2012年6月28日Geltl/Daimler判決の検討」 黒沼悦郎・藤田友敬編 『企業法の進路(江頭憲治郎先生古稀記念)』(有斐閣、2017年01月)955-982頁。「欧州連合の内部者取引規制における内部情報の明確性-欧州連合司法裁判所2015年3月11日Lafonta判決の検討-」鳥山恭一・中村信男・高田晴仁編集委員『現代商事法の諸問題(岸田雅雄先生古稀記念論文集)』(成文堂、2016年07月)771-800頁。 それに加えて、うえの2014年の規則および指令に対応するためのフランスの2016年6月21日の法律の内容を検討した成果をまとめて、日仏法学29号に「立法紹介」として掲載するための原稿を提出している。 そのほかに関連して、「〔フランス企業法判例研究〕 株式大量保有報告義務違反による議決権剥奪の適用(破毀院商事部2015年2月10日)」早法92巻1号(2016年11月)321-341頁、「協調行為者による義務的な公開申立ての届出(破毀院商事部2014年11月25日判決)」早法92巻2号(2017年3月)165-177頁がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以上のようにフランスおよび欧州連合の内部者取引規制にかかわる調査および分析と研究成果の公表は順調に進んでいる。 今後も、内部者取引規制にかかるフランスおよび欧州連合の制度および判例法の動向の研究および分析をつづける予定である。
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今後の研究の推進方策 |
[研究実績の概要]に述べたように、欧州連合の内部者取引の規制を「市場濫用」の規制の一環として、従来の2003年1月28日の規則2003/6/CEに代えて定める2014年4月16日の規則(UE)第596/2014号および2014年4月16日の指令2014/57/UEが、2016年7月3日から適用されまたは2016年7月3日までに国内法化することが構成国に義務づけられていた。それに応じた立法措置が、フランスでもドイツでもすでにとられている。 今後は、そうしたあらたな法制度のもとでの判例法の展開を中心にした運用の内容を検討の対象にしたい。
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