研究課題/領域番号 |
15K03232
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
寺川 永 関西大学, 法学部, 教授 (50360045)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 役務提供契約 / 民法 / 消費者法 / 撤回権 |
研究実績の概要 |
平成28年度では、昨年度と同様に、本研究のテーマである消費者役務提供契約の解消法理について、引き続き外国文献の翻訳等を通じて研究をすすめてきた。この作業に加えて、解消法理と関連する撤回権に着目し、とりわけ通信販売契約における撤回権について、国内外の法制度の比較を行った。 まず、ヨーロッパ私法およびヨーロッパ消費者法に関する最近の動向を掴むために、デジタル・コンテンツおよびオンライン物品売買に関する二つのEUの指令提案の翻訳を、他の研究者とともに共同翻訳の作業に着手し、その公表を行った(雑誌論文1、雑誌論文2、雑誌論文3および雑誌論文4)。これらの指令提案は、デジタル・コンテンツおよびオンライン物品売買という新たな事象に対する法規制の意欲的な試みであると評価することができ、国内外において大いに注目されているトピックである。本研究のテーマとの関連でいえば、こうした新たな概念や取引構造に対して、消費者役務提供契約の解消法理にどのような影響を及ぼすことになるのかという点について、より深く理解を進めるためにも有益な作業であったといえる。 さらに、九州大学でのワークショップにおいて、通信販売における撤回権について、日本およびドイツの法制度の比較について口頭で報告した。これは、撤回権の対象となるのは主に(消費者)売買ではあるが、消費者役務提供契約の解消法理とも関連する領域である。ただし、報告では法的安定性(Legal Certainty)という観点から考察を試みたものであり、本研究のテーマに直結するものではないかもしれない。しかし、多角的な観点から分析を試みた結果、本研究のテーマに対して重要な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で記したように、外国文献の翻訳およびその公表という形で研究成果を残している。また、九州大学でのワークショップにおける報告については、まだ公表はされていないが、現在、公表に向けてその準備中である。以上の状況に鑑みて、上記区分((2))の評価としている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は消費者役務提供契約を検討対象とするものであるが、事業者と消費者との間で締結される消費者契約を基礎として、その背景には多数の当事者が関与して形成される複雑な取引構造を備えていることが確認されている。したがって、この点についてより深く検討をすすめるために、ドイツ・ハンブルクのマックス・プランク外国私法及び国際私法研究所での資料調査を行う予定である。また、あわせて国内外の文献を網羅する電子データベースを通じて、上記に関わる議論の整理を試みることにしたい。
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