• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

医学研究の法的生命倫理的ガバナンスのあり方に関する比較法的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K03242
研究機関神戸大学

研究代表者

丸山 英二  神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (10030636)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードインフォームド・コンセント / コモン・ルール / 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針 / 個人情報
研究実績の概要

2015(平成27)年度は,①2015年4月施行の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の研究現場における実施状況および問題点の把握,および②2015年9月に公表された米国のコモン・ルール改訂案の研究に注力した。
①に関しては,同指針を解説する講演を行う機会を多数得ることができた。そこで出された質問や意見交換から学ぶところが多かった。
②に関しては,2015年9月8日公表の Federal Policy for the Protection of Human Subject (80(173) Fed. Reg. 53,933) から,米国のコモン・ルール改訂作業の進捗状況を具体的に研究した。そこで示された具体的な変更点は,適用対象,インフォームド・コンセント(IC),情報・試料保護基準,省庁ガイダンスの整合性,多施設共同研究,IRBの効率化,資源バンクの審査,弱者被験者,結果返却,臨床試験規制等,など多岐にわたる。なかでも,(1)人体試料と識別可能個人情報に対する強い保護が打ち出されていること,(2)ICについて,broad consentの対象を期間で区切ること,broad consentの求めを拒否した対象候補者についてIC要件の免除を認めないこと,対象候補者の選択・募集等におけるIC要件の免除,など,コモン・ルール改訂事前通知(76(143) Fed. Reg. 44,512, Jul. 26, 2011)には含まれていなかったり,そこから変更されたりしたものも多いこと,(3)多くの規定が,人に対する敬意原理,利益確保・無危害原理,正義原理のベルモント3原理の現在の研究環境における具体的適用のかたちで検討されていること,が,注目される。具体的規定案の中には,研究者,研究機関に受け入れられるのが難しいと思われるものも含まれており,今後の推移を引き続き注視したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.米国のコモン・ルール改訂の動きについて研究を進めており,未だ論考をまとめるには至っていないが,人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下,「人指針」)に関わる講演において関連規定案を紹介するなど,成果の提示も進めている。
2.人指針の改訂に向けた文科省・厚労省合同会議において主張したものの採用されるところまではたどりつけなかった包括的同意について,米国における検討の進展・細密化を把握した。
3.個人情報保護法が2015年9月に改正された。施行規則の検討状況が判然とされないが,遺伝子情報の取扱いなど,医学研究に与える影響について,情報を収集した。
4.医学系学会に積極的に参加し,それを通して,医学研究の実情や医学研究に関する研究倫理指針が研究現場で果たしている機能などについて情報を収集した。
5.多くの研究機関や倫理審査委員会において研修の講師を務め,人指針について解説する報告を行い,フロアから頂戴した質問に答えるとともに,意見交換を通して自身も学ぶことができた。そのうち公表が可能なものについては,学会報告には含めていないが,後掲のウェブサイトで,報告に用いたパワポ資料をPDF化したものを掲出した。

今後の研究の推進方策

1.個人情報保護法改正との整合性を図るために2016年4月から開始された文科省,厚労省,経産省による研究倫理関係の3指針改訂作業には委員として参加してはいないが,委員からの情報や公表情報でその論点の把握と対応のあり方に関する検討を進めたい。
2.アメリカのコモン・ルール改訂作業の進捗について論考をまとめる作業を進める。骨太の基本原理を確認した上で,その原理に基づいて個別の問題に対する対応を,パブコメの意見を積極的に取り込みながら,まとめ上げるという作業を観察して,具体的な個々の規定の内容だけでなく,作業を進める手続の点でも,学ぶところが多く,そのありさまとそれに基づく意見を述べる必要性は高いと考えられる。
3.引き続き,研究に関わる医学会に参加し,研究推進のあり方,研究に対するガバナンスのあり方について,情報を収集する。
4.コモン・ルール改訂作業に照らして,わが国の指針策定のあり方の問題点が浮び上がった。息の長い作業を安定的に実施する体制を構築するために何が必要か,広い視野からの検討を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

年度末の出張および会合費について,支出の見通しを正確に予測できなかったため,わずかではあるが,平成27度の使用額が予算額より少なくなりました。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は246円という僅少額のものであるため,平成28年度における研究の実施のために活用したいと思います。

備考

丸山が行った講演・報告のうち公開できるものについて,提示したパワポファイルと配付資料を掲出している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の策定について2016

    • 著者名/発表者名
      丸山英二
    • 学会等名
      第52回医学系大学倫理委員会連絡会議学術会議
    • 発表場所
      京都国際会館(京都府・京都市)
    • 年月日
      2016-01-09 – 2016-01-09
  • [備考] 報告・講演記録

    • URL

      http://www2.kobe-u.ac.jp/~emaruyam/medical/Lecture/lecture.html

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi