研究課題/領域番号 |
15K03244
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藤村 賢訓 大分大学, 経済学部, 准教授 (50389384)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 意思決定代行 / 医療同意 / 家族 / 扶養意識 / 意思決定支援 / スウェーデン / アドヴォカシー |
研究実績の概要 |
本年度は、研究課題を達成するための前提資料や分析データの蒐集と、本研究課題の主眼である医療における代行決定に関するわが国の問題状況と、本人の意思を可能な限り決定に生かすための手法として意思決定支援に親和的な法システムについて、英国・スウェーデン・韓国の法学・福祉学研究者の意見を聞きながら、素案を作成し、その素案に基づき、研究の方向性と検討手法の妥当性を担保するために、各種研究会にて報告をおこなった。 スウェーデン・韓国研究者とは一昨年3月14~17日にスウェーデン国メーラーダーレン大学にて全体の研究会合をおこない、本年3月1日に大分大学にて大邱大学(韓国)3月28日にメーラダーレン大学(スウェーデン)所属の研究者と意見交換をおこなった。 報告は、研究者を主眼として7月25日に民法学研究会(中川淳主催・同志社大学にて隔月開催)、市民後見団体に対しては11月14日に研究報告講演(NPO法人市民後見ささえあい・大分稙田行政センター支所)、法曹実務家に対しては、11月26日に福岡家族法研究会(福岡家庭裁判所)にて研究報告をおこない、得られた意見を集約し、修正を加えた上で紀要にて公開予定である。なおあわせて、家族の扶養意識と被後見人の権利擁護実態を把握するため、社会福祉士会および権利擁護ネット大分の協力を得て、被後見人をかかえる同居家族の困難事例を中心に後見事例検討会を月例で実施した。(継続している) 補助金については研究の前提資料となるスウェーデン後見法制・医療政策に関する文献および公的資料、韓国後見法、地域福祉関連文献、英国MCA関係資料、障害者権利条約関係文献を多数購入するとともに、各研究報告のための旅費に使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は研究計画の妥当性を担保し、今後の方向性を定めるため、各方面で報告をおこなうとともに、被後見人や広く意思決定が困難な者を抱える家族の実態調査をおこなった。また文献等基礎資料を充実させ、各国研究者との人的ネットワークを強化することを主眼とした。上記目的に関しては概ね順調に進んでいる。今後は論稿としてまとめ、成果を広く公表することが課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた資料や聞き取りデータの分析を行うとともに、中間報告として「福祉社会科学会」にて研究報告をおこなうとともに、年度末発行予定の民法学研究会論文集にて成果を論稿にて示す予定である。なお後見事例等の質的のデータの整理に本学院生の協力を得ることが可能となったので、扶養意識からみた家族の関わり方についても、別途研究成果を公表する予定である。また3月にスウェーデン・メーラダーレン大学にて研究報告をおこなうことを調整中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はデータ整理を支援する院生を依頼することが出来ず、かつスウェーデン渡航時の通訳を委託予定であったが、昨年秋から冬にかけてのデンマーク等北欧での治安悪化とスケジュール上の調整がつかず、渡航できなかったため人件費・謝金の支出が出来なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
データ整理・分析を支援いただく院生を確保出来たため、当該院生に対する謝金と、来年3月にスウェーデンに渡航予定のため、現地通訳の費用を計上予定である。また日本語論文の英訳校正費用としても計上予定である。また関連文献も引き続き蒐集予定である。なおスウェーデン渡航費用は本学より別途予算措置を獲得予定であり、予算範囲内で執行可能であることを付言する。
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