研究課題/領域番号 |
15K03244
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藤村 賢訓 大分大学, 経済学部, 准教授 (50389384)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 意思決定支援 / 医療行為の代諾 / スウェーデン / アドヴォカシー |
研究実績の概要 |
28年度においては前年度におこなった研究報告等で確認できた研究の方向性に基づき、先行文献を読み込むとともに、本年度施行された成年後見制度利用促進法上の実施計画策定会議の議論を踏まえながら、英国MSA法およびケア法におけるアドヴォカシー制度、スウェーデンにおける地方自治体(コミューン)が実施する後見支援の状況との比較をおこなった。なおスウェーデンの制度状況については、3月に直接現地を訪れ、研究協力をいただいているエスキルステュナ市およびメーラダーレン大学の関係者の支援の下で現地調査を実施することができ、実務状況および法の改定状況について最新の知見を持ち帰ることが叶った。なお本年度得られた成果については、研究論文「決定能力を欠く者に対する医療行為の同意に関する考察~英国およびスウェーデンの公的アドヴォカシー制度を示唆として~」としてまとめた。なお同論文は、成文堂から9月発刊の企画論文集に掲載が決まっており、5月現在現在初稿校正中である。また後見活動や医療同意の問題に直面している専門職後見人を擁する各専門職団体、自治体行政の担当者、社会福祉協議会等の関係団体において、得られた成果を研修や講演を通じて広く共有するとともに、所属する大学院福祉社会科学研究科主催の学会での研究報告を実施した。また大分県の関係団体に共催をいただき、福祉・医療・介護における家族と生活の質を題材に開催した講演会にてコーディネーターとして関わり、研究内容を地域社会へ還元することができた。最終年度である本年度は得られた成果について、6月25日の九州法学会第122回学術大会におけるシンポジウムにおいて、パネリストとして報告するとともに、10月に立命館大学において研究報告をおこなうとともに、年度内に総括論文を執筆することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って資料収集および研究報告が実施できている。なお治安と先方の予定が合わず1年目に実施できなかったスウェーデンでの調査についても本年3月に現地調査を実施することができており、得られた知見について論文として纏めることができた。今後は成年後見制度利用促進法の施行により、当初予定しなかった課題関心を持つに至ったことから、その点をどこまで本研究に包含できるかについて検討する必要を感じている。場合によっては、新たに課題として申請することも視野に入れている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年度は今まで得られた成果について、6月25日の九州法学会第122回学術大会におけるシンポジウムにおいて、パネリストとして報告するとともに、立命館大学において研究報告をおこなうとともに、総括論文を執筆することを予定している。今後は成年後見制度利用促進法の施行により、後見法制が地域福祉分野での権利擁護政策に近接する方向性を見いだせることを契機として、契約モデルによらない北欧型公的後見制度のもつ、アドヴォカシー機能を医療同意理論に応用することの可能性について、課題関心を持つに至ったことから、その点をどこまで本研究に包含できるかについて検討する必要を感じている。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費および謝金については、当初スウェーデンでの通訳およびシンポジウム準備金や大学院生等による資料整理費、研究者招請費用および会議費を想定して計上していたが、通訳および院生人件費については、所属部教からの費用支援を得ることができたため計上していない。また研究者招請費用および会議費について、当初2月に大分県別府市での研究打ち合わせを想定していたが、先方都合により当職が先方宛に向かい打ち合わせをすることになったため、旅費として計上し、残額を次年度使用額として留保している。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度6月の九州法学会第122回学術大会シンポジウムにおけるパネリスト間の事前打ち合わせにて人件費および施設利用等雑費を利用予定である。また成文堂より出版予定の論文を英文および韓国語に翻訳し、研究協力者宛送付回覧予定のため、同翻訳および校正料を計上予定である。
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