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2017 年度 実施状況報告書

産科医療補償制度と医療訴訟の比較による医療紛争の救済制度の新たな構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K03245
研究機関首都大学東京

研究代表者

我妻 学  首都大学東京, 社会科学研究科, 教授 (30211668)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード産科医療補償制度 / 医療事故調査制度 / 医療事故の原因分析 / 無過失補償
研究実績の概要

本研究は、2009年に施行され、2017年に8年目を迎えた産科医療補償制度の現状分析および医療紛争に関する類似の補償制度の比較法的考察からなる。
産科医療補償制度の審査件数は、2017年12月末現在、総計2,980件であり、補償対象となったのは、2,233件である。訴訟ないし訴訟外で賠償交渉が行われた事案は、97件に過ぎず、大部分の事件は、産科補償制度による救済によっていることが確認できる。
原因分析報告書が2017年12月末現在、公表されているのは、1,649件である。分娩に関連する事由によるという産科医療補償制度の本来の趣旨とは異なる場合も相当数あるとされており、どのように原因分析報告書を活用するかに関して、検討している。
2011年よりスコットランドでは、無過失補償制度の導入が議論されており、2014年に方向所が公表されている。これに対し、イングランドにおいても、同時期に無過失補償制度の導入が検討されているが、予算の手当が困難であるとして、いったん導入に関し、断念されている。しかし、2016年末に、分娩の医療体制を向上させるとともに、早期の救済制度として、無過失補償制度を再び検討することが明らかになり、2017年11月に報告書が公表されている。今後も比較の対象として研究を継続したい。
研究対象を産科医療補償制度だけではなく、2016年から医療事故原因の報告・調査制度にも拡げて行っている。医療事故調査制度が2015年から開始され、予期せぬ死亡事例に関し、院内事故調査が行われており、事故原因の報告・調査・再発防止は、医療安全を向上するための両輪であり、産科医療補償制度における原因分析と共通するからである。我が国の医療事故調査制度に関し、第6回証拠法・法医学国際シンポジウムで報告し、日本医事法学会の紀要に研究概要を公表している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、我が国の医療事故調査制度に関し、第6回証拠法・法医学国際シンポジウムで報告し、日本医事法学会の紀要に研究概要を公表している。さらに、外国文献に投稿する予定である。どのように原因分析報告書を活用するかに関して、昨年に引き続き検討しており、今後の研究として、原因分析を総合的に分析したい。

今後の研究の推進方策

今後は、産科医療補償制度の原因分析報告書に基づいて、産科医療補償制度に関する具体的な分析を行う研究を継続したい。
イギリスにおける医療機関などから独立した全国規模の専門機関である医療安全調査庁(Heathcare Safety Investigation Branch (HSIB)が2017年に設立されており、比較法の対象として、有益だと考えているので、今後も引き続きその活動などに関し、調査・研究をしたい。

次年度使用額が生じた理由

産科医療補償制度における原因分析報告書全文版に関し、本研究にあわせて分析するには、関連する報告書を抽出する必要があり、そのための準備を本年度行っていたため、分析による費用を次年度に回して、十分に分析をする方が有効であると考えたため。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 医療事故調査制度の比較法的考察2017

    • 著者名/発表者名
      我妻学
    • 雑誌名

      年報医事法学32号

      巻: 32号 ページ: 115頁, 121頁

  • [雑誌論文] 「弁護士会照会に対する報告を拒絶する行為と同照会をした弁護士会に対する不法行為2017

    • 著者名/発表者名
      我妻学
    • 雑誌名

      判例リマークス

      巻: 55号 ページ: 46頁,49頁

  • [学会発表] New Reporting and Investigation of Medical Accident in Japan2017

    • 著者名/発表者名
      我妻 学
    • 学会等名
      The 6th International Conference on Evidence Law and Forensic Science
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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