本研究は、2009年に設立された分娩に関連した脳性麻痺の救済制度である産科医療補償制度を主に原因分析報告書に基づいて行っている。あわせて、アメリカ(バージニア州およびフロリダ州)、韓国などにおける産科医療保障制度など類似の補償制度の比較法的考察を行っている。 医療訴訟件数と比較すると、産婦人科に対する訴訟件数は、横ばいであり、産科補償制度による早期の救済を求めていると推察できる。原因分析報告書が2018年12月末現在、公表されているのは、2,204件であり、報告書の公表は、以前より迅速化されている。補償制度だけではなく、組織的に原因分析を行っている制度は、比較法的にも他に例がない。
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