研究課題
基盤研究(C)
本研究は、著作権侵害の成立要件である著作物の類似性について、外国法や著作権法の隣接領域である意匠法の議論を参照しつつ、検討を行った。本研究では、我が国の裁判実務が採用している全体観察に基づく類否判断の手法の理論的な正当化を試みるとともに、そのような判断手法がアメリカ法などにも共通して見られることや、意匠法における意匠の類否判断の手法とも符合するものであることを明らかにした。また、著作権侵害の判断では、類似性とともに権利制限が問題となるが、本研究では、両者の関係性についても検討を行った。
知的財産法
著作物の類似性は著作権侵害訴訟における最も重要な争点といえるが、著作物の類似性については、従来、必ずしも十分に理論的な分析が行われていなかった。本研究は、従来の裁判例・学説の整理・分析、比較法研究、他の隣接する知的財産法との比較研究を通して、著作物の類否判断の明確化を図り、著作権法の体系的理解に資する解釈論を提示している点において、学術的、社会的な意義を有する。