研究課題/領域番号 |
15K03249
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
古城 誠 上智大学, 法学部, 教授 (80013027)
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研究分担者 |
越智 敏裕 上智大学, 法学部, 教授 (90384180)
筑紫 圭一 上智大学, 法学部, 准教授 (20439334)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エネルギー事業規制改革 / 電力自由化 / 温暖化政策 / エネルギー政策 / 再生可能エネルギー / 離島の電力供給 / ガス自由化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エネルギー事業規制改革の動向と展望を踏まえつつ、日本における再生可能エネルギーの普及政策のあり方を明確に示すことである。具体的な研究課題は、離島の電力供給(課題①)と温暖化対策の適切な組合せ(課題②)であり、平成28年度は、課題①に関する国内視察と課題①②に関する文献調査を行った。 第一に、国内視察として、島根県の隠岐諸島(平成28年9月11日~同年9月13日)を調査した。中国電力隠岐ハイブリッドプロジェクト(西ノ島変電所)や島根原発等を見学し、各施設の担当者と意見交換をした。なお、原子力発電は、再生可能エネルギーと同じ非化石電源に位置づけられ、その稼働状況は、再生可能エネルギーの普及に影響を与えうるため、調査の対象に加えている。今回の調査を通じ、①蓄電池の技術・役割・特徴、②隠岐における再生可能エネルギーの普及状況と今後の見通し、③原子炉の構造と新たな安全規制の内容をよく理解することができた。 第二に、今年度も国内外の文献調査を行った(インターネットで入手可能な政府報告書等を中心に調査)。とくに今年度は、イギリスの温暖化政策について重点的に調査をした。イギリスは、日本と同じ島国でありながら、野心的な再生可能エネルギーの導入目標を掲げ、諸種の政策を積極的に講じており、比較対象として、とくに有益と考えられたためである。 第三に、成果の公表としては、昨年度学会の研究会で報告を行った電力・ガス自由化に伴う国内温暖化政策の変容について、最新動向の情報も加えて、論考を公表した。また、昨年度に引き続き、興味深い展開がみられる原子力発電所の運転差止めに係る裁判例の分析も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
離島の電力供給(課題①)について、平成28年度は、前年度の調査を補完する目的で、国内の離島調査を継続した。隠岐諸島の調査では、とくに蓄電池の活用について新たな知見が得られた。離島の電力システムについて包括的な検討を行うために、平成29年度も、補完的な調査(対馬等)をする予定である。これまでに予定した国内の離島調査は、順調に実施している。成果の公表については、①平成27年度に実施した種子島・屋久島・佐渡島の各調査結果に加え、②隠岐諸島の調査結果を平成29年度中に公表する予定である(①については、平成28年度中に公表する予定であったものの、この点は予定よりやや遅れている)。 温暖化対策の適切な組合せ(課題②)については、おおむね当初の計画どおり、研究が進んでいる。平成28年度の前半は、国内外の文献調査を重点的に行い、その後半で、まず国内温暖化政策の現状評価と今後の展望に関する論考を公表することができた。また、原子力発電所の操業差止めに係る裁判例の分析も、順調に進んでいる。海外視察としては、イギリス調査(2017年3月23日~4月1日)を実施し、同国のエネルギー政策・温暖化政策に関し、貴重な知見を得ることができた(ただし、年度をまたぐ調査となったため、平成28年度予算を繰り越し、平成29年度の予算として実施したので、これについては平成29年度の報告時に詳細を報告する)。
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今後の研究の推進方策 |
離島の電力供給(課題①)については、平成29年度にも、国内視察を行う。その成果とこれまでの成果は、まず各離島の調査結果として順次公表することとしたい。その上で、総合的な検討結果を、平成30年度に公表することを予定している。 温暖化対策の適切な組合せ(課題②)についても、平成29年度に海外視察(ドイツ・デンマーク等)を行う予定である。イギリスの調査は、平成28年度と平成29年度をまたぐ時期に実施したため、その調査結果の公表を平成29年の夏ごろをめどに行う予定である(なお、イギリス調査実施前に行った文献調査の結果は、すでにまとめ上げて脱稿している。平成29年前半に公表される予定である)。課題②についても、最終的な成果公表は、平成30年度に予定している。 平成29~30年度にかけて、課題①②の調査と成果公表を並行して行うため、研究代表者と研究分担者は、さらに緊密な連携をとって、スケジュール調整と研究を進める予定である。それぞれの役割分担に応じ、成果公表をこれまで以上に積極的に行ってゆくこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは、平成28年度に予定したイギリス調査について、平成28年度と平成29年度をまたぐ時期(2017年3月23日~4月1日)に実施することとなり、その費用を平成29年度に繰り越したためである。
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次年度使用額の使用計画 |
すでに、上記の時期にイギリス調査を実施し、繰り越した額を使用した。
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