本研究は、災害復興を視野に入れたコミュニティ・リーガル・サービス(地域社会のニーズに対応する法サービス)を、日本、アメリカ、オーストラリアで比較検討し、そのあるべき姿を構想することを目的とする。4年目にあたる2018年度は、過年度の研究実績を踏まえて、アメリカ、オーストラリア、日本の関連文献調査とともに、日本のコミュニティ・リーガル・サービスの制度と実情に関する訪問調査を行い、学会報告と論文執筆により研究成果を公表した。 文献調査では、国内外の災害と法に関する論考を渉猟した。訪問調査は、国内で、東日本大震災の津波被災者遺族のヒアリングを、宮城県の石巻市、女川町などで複数回行った。 学会報告等は、大川小学校研究会(東京)、専修大学法学部連続講演会(東京)、民主主義科学者協会法律部会東北支部合宿研究会(宮城)、アジア法社会学会大会(オーストラリア・ボンド大学)、専修大学社会科学研究所定例研究会において、本研究にもとづく知見を報告するとともに、それぞれの参加者にコメントを求めた(2018年5、7、8、12月、2019年2月)。 論文は、「津波訴訟への接近―パブリック法社会学の試み」ダニエル・H・フット他編『法の経験的社会科学の確立に向けて―村山眞維先生古稀記念』信山社399-417頁において、研究の過程で得られた知見にもとづきまとめた。 以上の文献調査ならびに訪問調査、学会報告と論文執筆により、過年度の研究を引き継ぎ、研究のとりまとめを行うことが可能となった。
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