本研究では、グローバル化する国際社会における実効性ある海洋法秩序の態様について、海洋環境法の原則、適用範囲、環境損害が生じた場合の責任主体・損害賠償の範囲、履行確保及び紛争解決制度に関し、国際法とEU法を比較検討することにより明確にすることを目的とした。実効性ある海洋法秩序に必要な要素とは、第一に既存の国際条約の適用を確保するための新制度である。第二に、海洋汚染を引き起こす活動の多くを実際に行うのは企業等の私人であり、例えば、海洋汚染を引き起こす原因となった行為を行った私人の責任を明確にする(汚染者負担原則)ことが重要である。第三に、実際に環境への損害が生じた場合の損害補償制度が必要である。
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