最終年度にあたる本年度は、4年間の研究成果を総括する論文執筆と講演を中心に行うとともに、本研究課題の更なる展開を目指した研究のための基礎調査を実施した。 研究成果として、主に以下の4点について論文執筆や講演を行った。(1)性的マイノリティがかかえる困難を人権の視点から考える意義、(2)トランスジェンダーの権利について日本がかかえる喫緊の課題(=性同一性障害者特例法の改正の必要性)、(3)職場における性的マイノリティの処遇に関する国際動向、(4)複合差別・交差差別における性的マイノリティの位置づけ、以上の点である。特に(1)については、本研究の総括としてジェンダー法学会の学会誌「ジェンダーと法」15号に投稿し、掲載されてた。 研究成果に関する講演は、一般市民や自治体職員、国会議員向けなど様々な対象と機会を通じて実施した。特に自治体職員や国会議員向けに実施した講演では、これまでの研究成果を踏まえて、性的マイノリティに関する法政策が、マイノリティへの「配慮」を越えて、人権保障の在り方の根幹が問われていることを強調して伝えた。11月には日本学術会議において日本で性的マイノリティの法政策を進めるための公開シンポジウムを企画・実施し、法政策を進める上での課題と展望を総括した。 また、更なる研究に向けた基礎調査として性的マイノリティの人権保障において世界のトップを走るオランダを訪問し、これまでの経緯や現在の課題等について、国会議員や各省庁の職員、市民団体関係者らからヒヤリングも実施した。
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