研究課題/領域番号 |
15K03259
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中島 岳志 東京工業大学, 大学マネジメントセンター, 教授 (40447040)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アジア主義 / 超国家主義 / 大正デモクラシー / 無産政党 |
研究実績の概要 |
大正デモクラシーとアジア主義を考えるうえで重要な宮崎龍介について、史資料の収集を行った。まずは熊本県荒尾市にある宮崎兄弟資料館にて「宮崎世民史料」の調査を行った。世民の父・宮崎民蔵は龍介の父・宮崎滔天の兄であり、二人は従兄弟関係にある。世民は戦後に日中友好協会の設立に尽力したことで知られ、宮崎兄弟資料館に寄託された史料には、訪中の際の手記やメモ、写真などが多く含まれる。調査によって龍介の戦後を捉えるうえで重要な史料であることが判明した。史料は未整理の状態のため、今後、目録作りなどの整理作業が必要となる。また当館には「宮崎世龍関係資料」も存在する。こちらも詳細な調査の必要がある。 宮崎龍介関係資料については、東京にある宮崎家での史料調査を行った。宮崎家所蔵資料については、福家崇洋氏(富山大学)と中国の調査チームが先行して調査を行っており、所蔵資料目録も整いつつある。この調査に加わり、資料の全体像を把握することに努めた。書庫の一部が未整理のため、所蔵本・雑誌・書類の調査が必要となることが判明した。この調査によって龍介による執筆論考の発見が期待される。 そのほか富士見市立中央図書館渋谷定輔文庫や法政大学大原社会問題研究所において、無産政党時代の史料を収集した。また国会図書館でも新聞をはじめとする関係資料の収集に努めた。 中野正剛については、遺族と連絡を取り、情報収集に努めている。今後、継続的な調査を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宮崎兄弟資料館および宮崎家所蔵の史資料について、その全体像を把握することができた。まずは初年度の大きな目標を達成することができたと言えよう。また、宮崎龍介、赤松克麿、麻生久、浅沼稲次郎といった無産政党関係者の書籍・論文・論考についても、多くのものをそろえることができた。国内における文献資料の収集については、当初の目標を十分に達成したと言える。 ただし、2016年2月末日に北海道大学を離任し、3月より東京工業大学に移ったため、その移動などに時間を要し、予定していた中国での調査を挙行することができなかった。中国における研究者とは連絡を取っており、資料閲覧の目途もついているが、時間的制約により渡航がかなわなかったことが悔やまれる。2016年度には中国での調査を実施し、さらに研究を前に進めたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は引き続き、宮崎兄弟資料館および宮崎家における調査を行う。また、中国での調査を行い、宮崎龍介・宮崎世民と戦後中国の関係について資料を収集する。 ただ、宮崎龍介の出身地が熊本であるため、地震の影響が心配される。早急に熊本での調査継続が可能か確認し、計画の実行に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年2月に北海道大学を離任し、東京工業大学に移籍した。そのため海外出張等の予定に変更が生じ、次年度の使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
所属機関の移籍があったため、早急に研究遂行に必要なパソコンなどの物品を購入する。また、昨年度から持ち越しとなった海外での研究調査を夏季に実施する。
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