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2017 年度 実績報告書

「熱狂(ファナティシズム)」の克服―近代英仏政治思想における情念の政治学

研究課題

研究課題/領域番号 15K03265
研究機関東京大学

研究代表者

川出 良枝  東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (10265481)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード政治思想史 / ヒューム / スタール / モンテスキュー / コンスタン / ヴォルテール
研究実績の概要

最終年度である平成29年度においては、前年度までの研究をふまえてあらためて、政治と情念との関係について、より広い位相で考察を深めた。とりわけ、ヒュームの政治思想の重要性を中心的に探究した。その際の新発見として、彼の政治論のフランス語訳といわゆるグルネ・サークルという重要な学派との密接な影響関係を解明することができた。
また、計画段階では、もっぱらスタールの熱狂に対する対応という課題の解明を重視していたが、彼女と行動をともにしたコンスタンの手による『政治の原理』の重要性にも着眼することができ、特に29年度の前半期には、その分析に注力した。経済的利害関心は暴力的情念をつねに制約する穏和な情念であり続けるか、という問題は革命をどう収束させるかという問題と密接に関連することが判明したのは大きな収穫であった。
あわせて、ジョナサン・イスラエルの「急進的啓蒙」対「穏健な啓蒙」という二分法を軸とした啓蒙研究の成果を批判的に考察する作業も行った。イスラエルの仕事には、特にその方法論の側面で疑問がないとはいえないが、そこからピエール・ベールの重要性を学ぶことができたのが大きな収穫であった。それをふまえて、宗教的な熱狂に対する対処として、むしろ世俗の君主の絶対権力に期待するという論理について考察を深めた。あわせて、ナショナリズムや愛国心がもたらす世俗的な熱狂についても調査した。
前年度までの研究成果をくみこみ、穏健・節度(moderation)という鍵概念を導きの糸として、熱狂(ファナティシズム)の克服のための条件を探るという研究全体を総括することができた。その成果の1部は学会報告や論文の形で発表した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 書評: ジョナサン・イスラエル、森村敏己訳『精神の革命――急進的啓蒙と近代民主主義の知的起源』2018

    • 著者名/発表者名
      川出良枝
    • 雑誌名

      社会思想史研究

      巻: 42 ページ: 印刷中

  • [学会発表] 海洋帝国の勃興: モンテスキュー後のイングランド論2017

    • 著者名/発表者名
      川出良枝
    • 学会等名
      日本政治学会
  • [図書] “Peace through Commerce or Jealousy of Commerce? Jean-Bernard Le Blanc on Great Britain in the mid-18th Century,” in The Foundations of Political Economy and Social Reform2018

    • 著者名/発表者名
      Kuroki and Ando編著(Yoshie Kawade他)
    • 総ページ数
      210頁(24-44)
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      9781138732759

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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