研究実績の概要 |
最終年度の本年度はまず、海外の研究者2名と共著で執筆した「Deliberative Democracy in East Asia: Japan and China」所収の、Andre Bachtiger, John S. Dryzek, Jane Mansbridge, and Mark E. Warren (eds.) The Oxford Handbook of Deliberative Democracy, Oxford University Press, 2018, が刊行された。 また、分断社会について熟議システム論の視点から再検討した論文「分断社会と熟議民主主義――熟議システム論の適用と再考を通じて」も、日本比較政治学会の学会誌『日本比較政治学会年報』第20号、に掲載された。熟議民主主義における「主体」像を問い直す「『主体的』ではない熟議のために」(村田和代編『話し合い研究の多様性を考える』ひつじ書房、2018年)も刊行された。 さらに、世界政治学会の2018年度世界大会(2018年7月。ブリスベン)で、「Beyond Talk」と題する分科会において、熟議における「話し合い」以外の要素に注目することは、熟議民主主義を正当性ではなく反省性中心に捉え直すことにつながるのではないか、と問題提起する研究報告を行った。 その他に、熟議システム論と政治理論に関する、いくつかの研究論文を執筆した。それらには、熟議システム論における「正しさと政治」との関係について考察した論文、および「熟議システムとしての家族」の理論化を発展させる論文が含まれる(いずれも研究論文集の一章として)。また、熟議民主主義論の源流の一つであるユルゲン・ハーバーマスについての論文集刊行企画を、編者として進めた。政治理論の立場から自由民主主義を再検討する作業にも取り組み、日本政治学会で研究報告を行った。
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