研究課題/領域番号 |
15K03281
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
松尾 秀哉 北海学園大学, 法学部, 教授 (50453452)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ベルギー / 連邦制 / 分裂危機 / 連立政権形成 / ユーロ危機 |
研究実績の概要 |
本研究は、ベルギーの度重なる分裂危機(政権交渉の長期化)の要因と、しかしながら「分裂」に至らず最終的に「合意」に至る理由を、政党アクターの行動に及ぼす連邦制度の影響に注目して明らかにすることを目的としている。 本年度は、予備的研究として、1)分析枠組みの精緻化と、2)2014年選挙後の交渉過程の情報収集を主に現地新聞などを中心に行う予定であった。まず2)については、le Soir, De Standaard, Flanders Todayなどの主要紙を国会図書館やネットを通じて集めることができた。すでに、この結果は、2015年の日本政治学会(千葉大学)分科会(連立政権の政治力学と政党政治の変容)において報告している(「2014年のベルギー連立交渉:分裂危機の終焉か、新しいカオスのはじまりか」)。ここでは、本研究の狙いの一つであった「ワロン側の抵抗」(先行研究は、申請者を含めて、「フランデレンの民族主義化」ばかりに注目して「危機」を説明してきた)について注目することもできた。 また、1)については、従来申請者が用いてきた枠組みをcoalition modelの中で展開できないかと発想し、それをやはり上記報告で展開したが、討論者からの指摘で、まだまだ勉強しなければならないことに気づかされ、引き続き今後の課題としたい。 新政権成立の背景として、欧州全般を襲ったユーロ危機と財政難を無視するわけにはいかないが、昨年度は、それを調べる過程で、また過去の業績と併せて、単著他、いくつかの論文集に寄稿出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も時間を要すると考えられた事例の資料収集が、おおむねうまくいった。あとは現地の資料によって補完しておきたい。むしろ今後の課題は、分析枠組みの刷新である。「多層化した政治空間」における連立形成を読み解く枠組みを明らかにしていきたい。 問題は、次項目にも挙げるように、3月22日に生じたベルギー連続テロの影響であった。テロ以降、「ベルギーはテロの巣窟」と呼ばれ、それに関する原稿の依頼などが多く、そちらに時間を割くことになった。
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今後の研究の推進方策 |
夏にベルギー渡航を計画し、ルーヴェン大学図書館などで短期に集中して資料を収集し読解する。また、連立研究をより勉強して、新しい分析枠組みを検討すると同時に、この研究は海外の方が盛んであるため、外国語雑誌への投稿を試みたい。 問題はテロの影響であるが、万が一渡航の制限があった場合は、理論面の蓄積に注力し、渡航費は書籍費と、一部次年度に回すなどしたい。また渡航が可能なら、テロの問題は重要なテーマであるため、本テーマの資料調査と併せて、積極的に調査してみたい。
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