政党は同じような政策・イデオロギー志向をもつ議員から構成されるべきだ」。政界再編が話題に登る度に、我が国ではこのような論調が繰り返し叫ばれている。だがこれは本当なのだろうか。本研究では、この論調に答えるべく、政党のイデオロギーと社会構造の2つの側面から分析を試みてきた。考察する国は、先進国で議院内閣制を採用する日本、英国、ドイツの3ケ国である。本研究では、ドイツの議員の社会構造を詳細に調べることでができ、成果として発表することができた。また日独の女性議員の社会的特徴の比較も共同研究の枠内で実施することができた。一方、政党のイデオロギー志向については、統一ドイツの政党史研究を積み重ねることで、組織としての政党のイデオロギー志向、各党の関係を把握することにも努めてきた。 反面、議員個人のイデオロギー志向を把握することは困難であった。この点は当初より予想されていたため、ドイツの場合、二大政党所属議員の州別の把握、党内派閥への所属状況は部分的に調査するにとどまった。また、英国研究については、十分に行うことができなかった。しかし研究者の所属大学で主催したシンポジウムで、本研究のテーマに詳しい英国人政治学者を招聘し、意見交換、将来の研究可能性を議論することができた。また日本については、上記の研究発表(於日本政治学会)以外では、研究会での意見交換を行ってきた。この他、3国について、文献研究を行うことは十分にできた。
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