研究課題/領域番号 |
15K03289
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
坂部 真理 大東文化大学, 法学部, 准教授 (30513668)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカ教育改革 / 新保守主義 / アメリカ政党 / 社会的投資戦略 / 福祉国家再編 |
研究実績の概要 |
H.27年度は、まずOECDなどの国際機関・政府の刊行物、および先行研究を基に、近年の社会的投資戦略(social investment strategy)に基づく福祉国家再編という文脈における各国の改革動向を整理し、特にその中では教育制度改革が一つの焦点になっている状況を確認した。その上で、近年の福祉国家再編または教育改革に底流する政治動態、特にその中で経営者団体(business community)が果たしてきた役割に関する先行研究を検討し、アメリカ教育改革を分析する上での枠組みを設定した。3月に行ったアメリカでの現地調査(議会図書館)では、同国の主要な経営者団体、および保守系シンクタンクなどが刊行した政策提言・レポートなどの資料を収集し、アメリカ新保守主義勢力を構成する主要な諸団体が、1980-2000年代の時期にいかなる教育改革アイディアを提示していたか、および彼らの間の連合‐対立関係はいかに変化してきたか、について分析した。まず以上の成果を一本の研究論文にまとめた。 またこの中で、特に教育の「標準化」という争点をめぐる多様な保守系諸団体間の対立構図については、別途、二本の研究論文として刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H.27年度の研究計画では、新保守主義勢力を構成する主要団体のうち特に経営者団体の動向に焦点を絞り、彼らが掲げた教育改革アイディア、およびその歴史的変容、各時期の改革過程で彼らが果たした役割などについて概観を得ることを目標としていた。本年は現地での資料収集を含め概ね予定通りの成果を得られた。
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今後の研究の推進方策 |
H.28,29年度は再度現地での資料収集を行い、各時期のアメリカ経営者団体の間での改革アイディアの差異、経営者団体と他の保守系諸団体との関係、共和党(政権・議会)との関係についてより詳細な分析を行う。また日本の教育改革に対する新保守主義/新自由主義の影響との比較分析も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年3月末に実施したアメリカでの現地調査の費用を、学内ルールに沿って次年度に清算することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上述のように、実際にはこの「次年度使用額」は、2016年3月末に実施したアメリカでの現地調査の旅費として既に使用されている。
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