本研究は、蒋介石ら中国要人達の日記と関係国公文書との相互検証に基づき、公文書の制約性からくる虚像を是正すること、日中戦争期の中国の実像を復元すること、新資料を提供すること、という目的の実現を試みた。 三年にわたる研究期間において、本研究は著書、論文の出版と国際学会での発信によって、「抗日」と「防共」の優先順序をめぐる蒋介石の葛藤、対ソ認識と抗日戦堅持との関連、対ドイツ政策の変遷、戦時外交の多面相、私文書と公文書の相互検証による研究の在り方、といった一連の問題について新しい知見を提示し、学術研究の深化に寄与した。
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