研究課題/領域番号 |
15K03291
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
三船 毅 中央大学, 経済学部, 教授 (00308800)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 政党間競争 / 選挙制度 / 政策空間 |
研究実績の概要 |
平成29年度は,政党間競争の理論的研究を中心に引き続き行ってきた.理論研究を中心に,既存の文献資料および 2000 年以降に出版された文献資料を購入して研究を進めた. 具体的には,選挙,政策形成,分裂・新党を一連のサイクルとして 捉え、その連関を演繹モデルとして構築することを試み,選挙、政策形成、分裂・新党の時間的変化を想定し、3 つの事象の政策空間の競争がその 1 つ前の時点の影響 を受けていることをモデル化した.また,自民党,安倍政権1強と言われる現状がいかなる構造を持つのかを,理論モデルとして構築することを試みてきた. さらに, ゲーム理論と交換ネットワーク理論との結合を試みている.またモデルのなかで有権者と政党・政治家の関係を経済学における契約理論を用いることにより,選挙過程を有権者と政党・政治家との契約と捉えることを新たに考察してきた.特に選挙における 両者の関係は不完備契約であるから,この視座は有効であると考えられる.現在,契約理論をもとに比較制度分析の枠組みを再考して,交換ネットワーク理論との融合を試みている. また,データ分析によるモデルの実証研究は,選挙制度の変更に伴う政治家の選挙競争,および政策位置の変化をグラフィカルモデリングの手法から析出して考察している. この成果は,2017年度日本政治学会で部会D-6選挙制度の効果 において「選挙制度が政策空間に及ぼす効果」として報告した.また業績として,三船毅編著『政治的空間に於ける有権者・政党・政策』(中央大学出版部)を出版した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までのところ,計画書の平成28年度の研究実施計画までは進捗しており,先行研究の理論から,日本の政党間競争を分析する枠組みは構築できた. 研究の遅れの主たる原因は,申請者が学部内の行政職にあり,時間の制約が多すぎすためである.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度,平成28年度の理論的研究で作成された理論モデルを統計モデルとして構築し、データにより検証 する。さ らに、制約行列を可変パラメータとして演繹理論をモデル化してシミュレーションをおこない、政党 や派閥などの議会に於ける勢力関係の変化が議会政治の過程をどのように変化させるのかを分析する。 ただし,データに関して,今のところいくつかの制約があり,打開する方向を模索している. また,本研究の一部を2018年度日本政治学会で報告予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者が,学部の行政職に就いているため. 2018年度日本政治学会への学会出張旅費に使う予定.
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