本研究は,2つの目的がある.目的の1つは,1990年以降の日本の政党間競争のフォーマルモデルを用いて説明することである.2つめは,1990年以降の政党間競争の背後に在る,日本の政党の勢力形成のメカニズムをフォーマルモデルを用いて説明することである.研究の成果は,2つの目的を全て達成してはいない.しかし研究の途上で,政党間競争を発展させる新しい方向を見つけた.1つは,契約理論により政府の規制緩和が選挙で与党,自民党に有利に作用することを分析した. 2つめは政党間競争の枠組みとしての政策空間において,保守的な有権者の多くが,非合理的な政策選好を有していることをグラフィカルモデリングにより分析した.
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