トクヴィルのアルジェリア論は彼のデモクラシー論と関連させて理解すべきである。個人主義と物質主義の蔓延の中に消えつつあるフランス国民の野心の向かうべき格好の対象を彼は北アフリカの植民に見出した。これをアメリカ西部開拓に類比さえしている(「アルジェはアフリカのシンシナッティだ」)。アルジェリア征服はまたデモクラシーの軍隊についての彼の憂慮を解消する意味をもった。それはフランスの兵士に活躍の場を与え、国内で騒擾を起こす危険を減ずるからである。軍事的征服と植民事業を峻別する視点も注目に値する。 トクヴィルのアルジェリア論は第三共和制下に本格化するフランス植民地帝国の形成を予告している。
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