平常時における国から地方への出向人事については、国からの押しつけとする見解と自治体の自主的な招聘とする見解が対立しているが、東日本大震災の被災自治体への出向については、自治体サイドからの強い招聘に基づくものであったことが明らかになった。 また、出向者の役割についても、①国との間の意思・情報の伝達役にとどまらず、国との激しい攻防を経て、交渉を軟着陸させる役割であったこと、②復旧・復興に係る関係者間の合意形成に際し、時に憎まれ役になり、時に一歩引いた視点から冷静な意見を提示する役割を期待されていたこと、が平常時と比べて特に特徴的であることが判明した。
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