研究課題/領域番号 |
15K03299
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
星野 昌裕 南山大学, 総合政策学部, 教授 (00316150)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国政治 / 民族問題 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国の政治体制改革研究に対して、少数民族政策の視点から新しい視座を獲得することを研究の目的としている。この研究目的を達成するために、2016年度は2つの地点においてフィールドワークを行ったほかに、ロンドンで資料収集を実施した。第1回目のフィールドワークは、8月17日から8月22日まで中国・甘粛省で、続いて8月22日から25日までは北京市において研究調査と資料収集を行った。イスラム教徒集住地の甘粛省・東郷族自治県では民家を、臨夏回族自治州ではイスラム寺院を訪問し、ヒアリングを実施した。また、甘南チベット族自治州では複数のチベット寺院でヒアリングを実施した。甘粛省の調査ではイスラム教とチベット仏教が共存しつつも相互交流が行われていない状況を把握することができた。北京では中国社会科学院の研究者らと意見交換をするとともに、民族問題に関する資料収集を実施した。2016年11月2日から7日には、イギリス公文書館(The National Archives)を訪問し、イギリス外交資料における新疆ウイグル問題およびチベット問題に関する資料を収集した。そのなかには、ダライ・ラマ14世がイギリス政府にあてた直筆サインの文書などもあった。中国の少数民族地域と、歴史的に深い関わりを持つイギリスにおいて、中国の少数民族問題に関する資料が豊富に存在することがわかったのは新たな発見であった。2017年3月22日から26日までは、新疆ウイグル自治区ウルムチ市において研究調査および資料収集を行った。具体的には、新疆師範大学を訪問してウイグルの政治社会を研究する専門家と意見交換をしたのち、同大学図書館において資料収集を行った。研究調査のプロセスで2009年のウルムチ騒乱の現場などを訪問し、現在の治安状況および政府の政策などを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度は、(1)中国の政治体制改革論議と少数民族地域でのフィールドワークの調査結果をもとに、中国の政治体制改革の可能性について民族問題の視点から研究を進めること、(2)海外研究機関との連携研究を継続的に実施すること、(3)海外でのフィールドワークを実施することを研究計画に掲げていた。「研究実績の概要」でも述べたように、2016年度は3つの地点でフィールドワークや資料収集を実施することができたほか、中国社会科学院や新疆師範大学の研究者など海外研究機関との連携も充実させることができた。このことから2016年度においては、ほぼ予定通りに研究を進展させることができたと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には2015年度、2016年度と同様に、国内拠点での連携研究、海外研究機関との連携研究、海外でのフィールドワークの3つを基本軸にすえて研究を進めていく。また、最終年度を迎えるため、研究成果のとりまとめを念頭に置きつつ研究をすすめていくことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国甘粛省でのフィールドワークにおいて、自動車の借り上げ代が想定より低価格だったこと、また8時間を超える欧州への海外出張に際して格安のエコノミーチケットを利用したことで計画以上に航空運賃を安く抑えることができたことなどから次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度実施するフィールドワークの際に使用する。
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