研究課題/領域番号 |
15K03302
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池尾 靖志 立命館大学, 産業社会学部, 非常勤講師 (20388177)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国民保護計画 / 国際交流 / 平和安全法制 / 自治体 / 島嶼防衛 |
研究実績の概要 |
今年度は、日本国内の自治体に対して、国民保護計画の策定状況、策定プロセス、住民保護(避難)などに関するアンケートを実施する予定であったが、2015年9月に平和安全法制が可決・成立したことから、平和安全法制が可決することに伴う、自治体の受け止め方、認識の変化もあわせて調査したかったため、アンケート調査を、2015年度末に、全国の広域自治体(都道府県)ならびに、離島防衛のなかでも、中国と最も近い、沖縄県内の市町村にとどめ、他の自治体を2016年度に行うことにした。 このため、先に、イギリスの、限定核戦争時における核攻撃事態における、住民の保護・避難をまとめたマニュアル(Protect and Survive)を入手すること、ならびに、研究協力者の、Ra Mason氏の案内により、限定核戦争の想定された時期、イギリスに中距離ミサイルを配備することによって住民の反対運動の起きた、グリーナム・コモン基地の跡地を見学し、当時の状況に関する調査を先に実施した。あわせて、同じく、研究協力者の、Glenn Hook教授(シェフィールド大学)ならびに、孫基栄教授(高麗大学)とともに、シェフィールド大学で、1回目の研究会を開催し、研究の進め方、現在のイギリスならびに韓国の直面する安全保障問題について、情報共有と意見交換を行った。 また、離島防衛の最先端である、与那国、宮古、石垣を訪れ、地元住民からのヒアリング調査も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の、日本国内の自治体に関するアンケート調査は、平和安全法制の可決・成立をまって行うこととしたため、次年度送りとしたが、当初、2年目に計画していたイギリスの調査を実施し得たこと、また、研究協力者全員がシェフィールド大学に集まり、研究会を開催し、問題意識の共有、課題の設定、研究成果の公表方法などについて、意見交換ができた。 また、離島防衛に関する研究について、2016年3月に、アメリカ・アトランタで開催された、International Studies Associationにおいて報告し、海外の研究者からコメントをいただくことができた。この成果は、今後の研究のために活用する。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、1年目に計画していた、日本国内の自治体に対して、国民保護計画の策定状況、策定プロセス、有事における住民避難などに関する取り組みに関するアンケート調査を優先的に実施する。 そのうえで、韓国におけるフィールド調査を、孫基栄・高麗大学校教授の協力の下で実施する予定である。 1年目は、当初計画では2年目に行うことにしていたイギリスでの調査・研究会ならびに、最終年度で行うことにしていた、アメリカでの学会報告を、現時点での中間報告として実施したため、計画の順序を変更した。このため、2016年度は、イギリスでの実地調査ならびに研究会は行わない。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度は、平和安全法制の可決・成立に伴い、自治体に対する「国民保護計画」の策定状況に関するアンケートを、平和安全法制の成立後、自治体の「国民保護計画」にどの程度、影響が及ぶのかを、追加項目として挿入したかったため、当初、2015年度に行うアンケート調査の大部分を次年度に実施することにした。 ただし、それと前後して、2016年度に計画していた、イギリスでの実地調査、ならびに研究会を、研究協力者である、グレン=フック・シェフィールド大学教授と、孫基栄・高麗大学校教授が、シェフィールド大学に集まることが判明したことから、研究会ならびに実地調査を2015年度に行った。このため、初年度の残額不足が見込まれたため、前倒し請求を行った。この影響で、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は、2015年度にできなかった、アンケート調査に係る郵送費、および、データ入力の補助作業者に対する謝金を主な支出項目として計上している。また、2016年度には、韓国へのフィールド調査を行う。ただし、今年度計画していたイギリスへのフィールド調査は行わないこととしている。
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