本研究は、有事の際に、自治体がどのような対応を行うべきなのか(あるいは、すでに計画を有しているのか)、全ての自治体に全数調査を行うとともに、1980年代、限定核戦争が想定されたときのイギリス、朝鮮戦争以来、休戦協定が行われているものの、戦争状態にある、韓国の保護計画と比較検討することにより、日本の有事に対処する計画に対して、不備な点がないかを確認することを目的としてきた。 しかし、その間、日本では、韓国のミサイル実験、中国の軍事的脅威の高まりなどから、南西諸島への島嶼防衛が問題となり、南西諸島のうち、与那国島にはすでに自衛隊の沿岸監視隊が配備され、宮古島へのミサイル配備増強、新基地建設、石垣島への自衛隊基地新設が決まり、それに対する住民への対応が、国家安全保障との関係において、重要な研究課題として浮上してきた。このため、研究機関の半分は、島嶼防衛に関する住民へのアプローチなどもあわせて研究対象とした。 その結果は、当初予定にはなかったが、研究期間の2年目にも、沖縄本島において、離島防衛の現状を探るシンポジウムの開催を行い、安全保障の問題を追い続けている新聞記者を基調講演者としてお迎えし、宮古・石垣・与那国からも住民を呼んで、現状を語っていただいた。 また、研究期間3年目(最終年度)では、若干研究資金が底をついたため、私費にて、韓国に対する現地視察、韓国の研究者との意見交換をソウルで行ったほか、最後に、当初の研究計画通り、イギリス、韓国から、安全保障が専門の研究者を呼んで、シンポジウムを行った。2年目と同じ新聞記者に基調講演をお願いし、最新の情報を提供していただくとともに、核軍縮が専門の研究者をパネリストとして招聘した。
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