ウェストミンスター(イギリス、オーストラリアなど)の議会慣習を調べる研究を行ってきた。 最終年度の29年度は、オーストラリア政治学会で日豪の二院の選挙タイミングに関する違いに関して、理由を探求して報告を行った。そこでの助言を踏まえ、現在は、成果を発表する場を探している。また、その過程において、政治学アプローチのなかでの「解釈アプローチ」の重要性に気づくことになった。 日本とオーストラリアにおいては、一部の例外を除き、日本では衆参別々の時期に選挙を行っているが、オーストラリアの上下両院選挙は、一時期を除いて、常に同時に行われてきた。この問題に関して、背後にどのような思想があったのかについて調べてきた。 「解釈アプローチ」とは、議会慣習などを客観的な制度として見るのではなく、主観的な政治アクターの思想によって作られたものである、もっと言えば、思想そのものであるという考え方であり、近年政治学上では少数派であるが、ロッド・ローズやマーク・ビーヴァーなどを中心に近年提唱されている研究方法である。筆者は、その研究方法によって、日豪二院の同時選挙・別選挙の慣習とその背後の思想を解明しようとした。 現在、問題をさらに発展させ、解釈アプローチの視点から、日本の憲法学史、とくに議院内閣制と解散権行使の在り様について、研究しようとしている。また、そのための準備で、2018年ブリスベンで行われる世界政治学会において報告することにしている。
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