従来、地球環境問題の解決には国家間合意に拠る条約レジームの形成が必要であると考えられてきたが、近年、国家間交渉が行き詰まる場合に、国家以外のアクターが合意できるところから合意を積み上げて取組みを進展させようという動きが観察されるようになった。このような動きを「環境公益・国際規範のマルチレベルでの受容と呼応」と捉え、従来の国家間交渉の担い手であった行政が、このような分散的な条約プロセスを如何にマネジメントすべきかについて考察した本研究は、新しい現象をどのように捉えるべきかについて、学術的及び実践的視点から取り組むものである。
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