研究課題/領域番号 |
15K03307
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 次長 (40466066)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 所得格差 / 民主主義 / 東南アジア / 政治的安定 / 政治体制 / 政治経済 |
研究実績の概要 |
これまで行ってきた理論サーベイに加えて、東南アジアにおける所得格差と政治的安定をめぐる関連議論のサーベイ、特に対象となっている5ヶ国をめぐる議論についての整理を行った。合わせて、昨年度出版したPolitical Determinants of Income Inequality in Emerging Democracies (Springer), 2016を関連研究者に送付し、そこで得たコメントをもとに、理論の問題点を洗い出す作業を行った。こうした作業のなかで新たな検討課題として認識されるようになったことは、所得格差のあり方が対象国で高いとしても、その内容に多様性があることである。格差の問題と他の社会的な亀裂の重複あるいは交差のあり方、例えば、地域格差が主たる理由であったり、エスニック集団間の格差が主たる理由であったり、あるいは都市と農村の問題であったりと、亀裂と格差の関係の違いに十分注意を払ったうえで、政治、あるいは政策との関係を考える必要があることが明らかとなり、そのためPolitical Determinants of Income Inequality in Emerging Democraciesで展開した一般的な理論をこうした現状にどのように応用していくのかがより緻密に検討される必要性が出てきた。 なお、当初、本年度はマレーシア、シンガポールへ出張を計画していたが、家族の体調不良により長期出張が困難だったため、現地調査は次年度に延期した。 対象国のうちの一つであるフィリピンで新しい政権が発足し、強硬な犯罪取締政策を進める新政権がこれまでの低所得者層からの支持に基くポピュリズムから、中間層を中心とした支持への転換を見せており、社会階層間の変化について情報を収集することも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家族の体調不良により長期出張ができなかったため、現地での情報収集が遅れている。一方、理論的な整理については順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
実施できなかった東南アジアの対象国での現地調査を実施し、情報を収集するとともに、これまで進めてきた理論との整合性についてあらためて確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主たる剰余の理由は、家族の体調不良に関わる私的都合により現地調査の実施が不可能となったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
実施できなかった現地調査を行うことともに、書籍・資料の購入を積極的に進めていく。
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