本研究は、国際規範を地域レベルに普及・履行する過程での地域機構の役割とリージョナル・ガヴァナンスを分析するものである。規範普及の課題の一つとして反人身売買規範を取り上げ、地域機構と政府、国際機関、NGOのネットワーク形成を分析する。欧州連合で展開される市民社会を取り込んだ人身売買対策をめぐるプログラム等を参考に、東南アジア諸国連合における対策の進捗状況と問題点、さらに国連や国家、NGOの力関係を水平に展開する新しいネットワーク形成についても確認した。また、「安全保障化」をキーワードに、北東アジアにおける人身売買の問題の認識の違いと協力枠組みの形成が困難なことも明らかにした。
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