| 研究課題/領域番号 |
15K03310
|
|---|
| 研究機関 | 筑波大学 |
|---|
研究代表者 |
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
| キーワード | EU / トルコ / 加盟 / 難民危機 / 関税同盟 |
|---|
| 研究実績の概要 |
2017年度に関しては、引き続き二次資料の収集・購読に多くの時間を割きつつ、アウトプットを試みた。
2016年度の研究成果を、2016年9月にトルコのイズミールで開催予定であったヨーロッパ国際政治学会（EISA）で報告しようとしていたが、2016年7月のトルコのクーデターの影響で、学会の開催そのものが見送られてしまった。この挽回のため、2017年9月にスペインのバルセロナで実施されたEISAに報告希望を出し、無事に学会報告を実施することができた。2016年度中に報告しようとしていた内容をアップデートしたうえで、トルコにおける憲法改正の試みやEU・トルコ関係の新たな動きに加え、日・トルコ関係の近年の動きを加味して報告することができた。2年続けてEISAの報告希望が採択されたことは、この科研費を得て積み重ねた研究成果の一部が評価されたことにもつながると考える。
このほか、本研究をベースとして、トルコ・地中海・中東の広範囲にわたる地域とEUとの重層的関係を考察する機会に恵まれ、2017年度後半を用いてこの基礎的考察を行った。この成果は研究会報告の形で公表しており、これをさらにアップデートしたものを近く編著に所収される論文として公表する予定である。
2017年度は、本科研費を基課題とし、国際共同研究加速基金（国際共同研究強化）を得てベルギーで1年間の在外研究を行った年でもあったため、本研究と国際共同研究の２つをバランスを取りながら実施した年となった。とくに本研究の関連では、学会・研究会報告とEU関係者へのインタビュー、セミナーやワークショップへの出席と意見交換に多くの時間を費やした。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度、トルコにおけるクーデターの影響でで中止となった学会報告での成果発表に関しては、2017年度に新たな機会を得て実施することが可能となった。さらに、本研究の成果の一部を2018年度編著の形で公表する機会に恵まれたため、そのための情報収集と執筆、中間的な研究報告を実施することができ、研究に広がりを持たせることができた。
ただし依然として、トルコの政情が安定しないため、当初想定していたトルコ国内におけるインタビューやフィールドワーク等の実施が難しい状態にある。その分、ブリュッセルでEU関係者にインタビューすることで研究の遅れを取り戻すことを試みているが、トルコの政情不安というコントロール不能な状況があるとはいえ、当初予定していたトルコでの調査が実施できていないことは事実である。このため、「当初の計画以上に進展している」とは評価しがたい。
|
| 今後の研究の推進方策 |
EU・トルコ・日本関係に関する学会報告をベルギーで1回実施する（第18回European Union in International Affairs 学会。報告希望はすでに採択済み）。また、EU・トルコ・地中海・中東関係に関する研究成果を、共著に所収される論文のかたちで公表する。
トルコでの実地調査を実現したいが、このま政情が改善しなければ、ベルギーあるいはイギリスでの調査に切り替えて実施する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
2016-2017年度は、本研究を基課題とする「国際共同研究加速基金」を得て約1年間ベルギーに滞在していたため、ヨーロッパで実施したインタビューと学会報告に関し、本科研費から旅費を支出する必要がなかった。2018年度以降は本研究課題のみになるため、2018年5月に予定されている学会報告および同年夏に予定しているインタビュー調査に関し、旅費での支出が見込まれる。
|
