研究課題/領域番号 |
15K03310
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | EU / トルコ / 絶縁体 / 関税同盟 / 難民合意 |
研究実績の概要 |
2018年度に関しては、本研究課題に関して国内・国外の学会での研究報告を複数回実施することができた。主なものとして、2018年5月に'European Union in International Affairs' (EUIA) 第18回研究大会(於ベルギー)、11月に日本国際政治学会2018年度研究大会・国際統合分科会、12月の在日ジョージア大使館主催講演会における招待講演、そして2019年3月のEU-Japan Forum 2019(於ベルギー)などである。これらのすべてにおいて、有意義なフィードバックを得ることができ、2019年度の研究の方向性を固めるうえでも有益であった。 出版物に関しては、4冊の編著にそれぞれ2万字―3万字の章を単独で担当した。また、学術誌に単著論文を1本、ウエブジャーナルに単著論文を1本、それぞれ掲載することができた。これらの活字となった業績では、「EUと「絶縁体国家」トルコ --疎外と期待」が、まさに本研究課題における「中間発表」と位置付けられ、最重要の業績となる。 また、それ以外の業績に関しては、本研究課題でメインに扱っているトルコ・EU関係を、EUのその他の近隣諸国(主に東欧など)との比較・連関から論じたものが多く、本研究の内容に広がりと深みをもたらすことができた。 上記2回のベルギーでの学会報告に加え、1回の調査海外出張も実施することが出来た。英国のEU離脱(ブレクジット)を目前としたEU・トルコ関係への影響の調査がメインではあったが、それ以外にも、そもそも「トルコ要因」(「将来的にEUにトルコが加盟し、英国内にトルコ人労働者があふれる」という類の、離脱派によるプロパガンダ)が2016年のレファレンダムに与えた影響についても有意義な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学会・研究会報告、活字でのアウトプットともに、当初の目標を上回る成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は最後の研究年度となる。基本的には2018年度の路線を継続し、国内外での学会での報告(すでに1件に関して報告希望が採択)および英語・日本語での論文および編著での分担(単独執筆)に注力する。 とりわけ、2018年度の研究業績で提示した「絶縁体国家としてのトルコに対するEUのアプローチ」(もともとBuzan, Diezなどによって萌芽的概念が提唱されていたものを、本研究課題で踏み込み拡張させたもの)の視点をさらに発展させ、上記の研究成果に反映させていく。 調査海外出張に関しては、上記の学会報告のための旅費の残の状況を勘案しつつ、本研究の総括的なインタビューを実施するため、ロンドン、ブリュッセル、治安上可能であればアンカラを訪問する予定。また、上記の「絶縁体国家」のオリジナルの考案者であるBuzanおよびDiezらを訪問し、同概念の今後の発展の可能性について意見・情報交換を実施する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を海外で発表するための予算を本科研費から留保しておいたが、実際にはこの目的での海外渡航に際し、他の研究資金を得ることができたたため、当該年度については留保分は支出せずに終わった。 留保分については主に、2019年度に実施予定の現地調査および海外での学会報告(2020年3月米国国際政治学会研究大会)のための旅費に支出予定である。
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