研究課題/領域番号 |
15K03310
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
東野 篤子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60405488)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | トルコ / 日本 / EU / 連結性 / 西バルカン / 中国 / 国際関係論 |
研究実績の概要 |
当該年度は、トルコ・ヨーロッパ関係における新局面につき、最新情報を追うことに集中した。コロナ禍が継続しており、トルコおよびヨーロッパでの現地調査はかなわなかったが、文献調査とそれに基づく分析ペーパーの執筆と、主に英語での対外発信(ウエビナーなどを活用した研究成果報告)に力を入れた。 具体的には、①ヴィシェグラード4か国と日本との関係において、ヨーロッパとトルコ関係の悪化がどのように影響しているか、②中・東欧地域における中国の影響力の急増と急落は、トルコにとってどのような影響を与えているか(「トルコと中国」および「トルコとEU」との関係の変遷)、③中・東欧の一部諸国と台湾との接近が、トルコを含むユーラシア全体にどのような影響を与えようとしているのか、などについて考察した、④2019年に安部政権下で発足した「持続可能な連結性及び質の高いインフラに関する日EUパートナーシップ(通称「日本・EU連結性パートナーシップ」)がなかなか目立った成果を出せない中、日本はトルコとの従来からの連携をどのように活かそうとしているのか、などについて考察した。 なお、当該年度末(2022年2月24日)にロシア・ウクライナ戦争が勃発し、上記①~④までの分析にもこの戦争の視点を入れざるを得なくなった。戦争勃発以降は、ロシア・ウクライナ戦争における「仲介者」として浮上し、国際的な注目を浴びるに至ったトルコの役割について考察を開始したが、状況が激動していることから、包括的な視点を刊行論文のかたちで世に問うことは2022年度における課題としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における様々な制約の下、執筆作業はむしろはかどる部分もあるが、本研究課題が重視していた現地でのインタビューは全くできていない。とくにトルコにおいては、様々な監視が厳しくなっており、オンラインインタビューなどは非常に難しい状況が続いている。EUとトルコとの関係改善の兆しが見えない中、現地の政策担当者や研究者らの生の声を集めることは極めて重要であり、この研究の進展にも大きくかかわる。また、本学では基本g的に海外出張も禁止されている。コロナと共存しなければならない状態の中、最終年度である2022年度には出張が許されることを切に願っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度には、トルコ(アンカラおよびイスタンブール)での意見聴取のための2週間程度の出張が必須である。現地の政策担当者や研究者らの生の声を集めることは極めて重要であり、この研究の進展にも大きくかかわる。このための出張が許可されれば、調査協力者の身の安全には十分留意しつつ、意見聴取結果をいったんまとめた分析ペーパーを公表したい。さらに、EU関係者へのインタビューのためブリュッセルでも調査を実施する必要がある。これらの成果は、オンライン学会での報告のためにひとまずとりまとめたうえで、英文でのジャーナル投稿を行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
トルコおよびEU諸機関(主に在ブリュッセル)への調査旅行のための出張旅費として取り置いた金額が、コロナ禍による出張禁止で使えなくなったため。この出張は最終年度である2022年度に実施する。
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