研究課題/領域番号 |
15K03316
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
福田 宏 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60312336)
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研究分担者 |
宮崎 悠 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (40507159)
辻河 典子 近畿大学, 文芸学部, 講師 (50724738)
石野 裕子 常磐短期大学, その他部局等, 准教授 (70418903)
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 准教授 (80507153)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中央ヨーロッパ / 中欧 / 戦間期 / 地域再編 / チェコスロヴァキア / ドイツ / ポーランド / ハンガリー |
研究実績の概要 |
初年度である平成27年度においては、学術雑誌『地域研究』(査読付き)に研究テーマと密接に関係する特集企画を提案し、研究代表者による序文、および、構成員5名全員による論文を掲載することができた。同特集は「ロシアとヨーロッパの狭間:ウクライナ問題と地域史から考える」と題し、戦間期中央ヨーロッパの地理的位置ならびに国際関係を押さえつつ、当時において盛んに議論されていた地域再編の可能性とヨーロッパ統合の萌芽について分析を行っている。さらに、この特集では昨今のウクライナ危機に関するサブ特集を併置し、同科研メンバーとは異なる4名の研究者の論考を掲載した他、この分野の第一線で活躍する研究者4名による座談会についても収録することができた。この特集構成により、ヨーロッパとロシアの「狭間」に位置する中央ヨーロッパについて、現状分析と歴史的視点の双方から立体的にアプローチすることができたと考えている。 また、中東欧・ロシアの国際学会であるICCEES(International Council for Central and East European Studies)の世界大会が初めて日本で開催されたことから、本科研チームからも2名(福田および辻河)が報告を行った。その他にも、日本政治学会において戦間期中欧論に関するパネルが組まれたことから、本科研チームから2名(福田および板橋)が報告を行っている。 その他、構成員5名全員が何らかの形でそれぞれ専門とする地域を訪問し、関連史料の収集、現地研究者との討論などを行い、今後の研究に向けた準備作業を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先にも記したように、科研初年度において、研究テーマに即した形で『地域研究』の特集を組み、国際・国内学会の双方において関連するテーマで報告ができたことは、評価できる点と考えられる。また、基盤(C)の枠組で計5名の構成員であるため、予算的には余裕がない状態であるが、それぞれが工夫を重ねることによって比較的低予算で現地調査等を実施している。例えば、複数の科研を組み合わせて国外出張を行ったり、別件での出張の際に、隙間の時間に史料を収集したりするなど、出張回数を削減できるように対応しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度(初年度)において『地域研究』での特集や国際・国内学会での関連報告を実施することができたため、平成28年度においては、構成員それぞれの研究を深化させていくことに重点を置き、最終年度となる平成29年度において本科研としての成果を明確に出せるようにしたいと考えている。 戦間期の地域再編論においては、主たるアクターが多言語使用者であり、新興国民国家の国境を越えて活動する事例が多く見られるのに対し、現在の研究においては、各国民史毎に分かれてしまっているのが実情である。また、我々科研構成員についても、専門とする場所が国家或いは言語によって区分されているため、それを乗り越えるための努力が今後重要になってくるものと思われる。もちろん、この点は科研申請の書類においても明記している点であったが、科研2年目以降は、各自の研究を深化させていくと同時に、科研メンバー以外も含めて研究者間の情報交換を密にしながら研究活動を展開させていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研メンバーの辻河氏の国外出張について、年度末であったにもかかわらず、どの部分までを科研費による出張とするかが直前まで判明していなかったため、余裕を持って予算を組まざるをえなかったこと、また、同メンバーの石野氏については、今年度については別件での国外出張が入ったため、科研による国外出張の時間が取れなかったこと、以上の理由により次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
科研メンバーの辻河氏、石野氏ともに、次年度使用額と今年度使用額を組み合わせる形で国外調査を行う。
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