2014年の米国の博士論文(スタンフォード大学)が中国・ミャンマー国境に関して画期的な研究を提示したことを受けて、一つの事例を掘り下げるという当初の研究を見直し、3つの軌道修正を行なった。1つは、インド国境も視野に入れ、空間的な視野を広げること。もう1つは、国境地帯内部の動態に注目し、言語と宗教の変化を分析すること。そしてまた、事例の比較を可能とする理論的枠組みを提出すること。この結果、「ゾミア 、マンダラ、帝国、国民国家」という四つの範疇を組み合わせたパラダイムを提示した。アジア(特に東南アジア)での領域形成の歴史動態を分析する際に有効なパラダイムとなることが期待される。
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