国家の枠組みを超えて活動する越境的アクターは、従来の国家中心的な国際関係のあり方が変容を遂げる中で、その存在感をいっそう増しつつある。本研究は、国家の利害をこえて行動する脱国家的な越境的アクターの機能が強調される一方で、看過されがちな越境的アクターの担う国家の利害を反映した政治的機能について、台湾および太平洋島嶼地域に居住する越境的アクターとしての先住民族を事例とし、太平洋島嶼地域における台湾承認問題をめぐるその政治的機能の分析を通じて考察を行った。事例分析から、越境的アクターの主体性が増すことによって、国家の利害を反映した越境的アクターの政治的機能が高まりうることを明らかにした。
|