研究課題/領域番号 |
15K03323
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 真千子 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (40315859)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アメリカ / マグニツキー / 人権 / 民主化 |
研究実績の概要 |
3年目となる2017年度は、諸外国の民主化支援に携わるアメリカの非政府組織を訪問し、各組織において議論されていた主要課題、その課題へのアプローチ方法、支援活動の対象国政府との関係、対象国の現地スタッフ、関係する諸団体とのネットワーク形成やコミュニティ構築の連携状況などについて、聞き取り調査を中心とする情報収集と検証を進めた。また、オバマ政権からトランプ政権へ変わったことによる、アメリカの対外支援政策の変化や民主化支援団体に及んだと思われる影響についても検討を進めた。とりわけ注目したのは、最近、権威主義体制の国家においてメディアやインターネットに対する規制が急速に一段と強化され、それらと類似した政策を導入する国も増えている状況に対する措置として、民主化支援や人権擁護に携わる団体や関係する人々が進める政策対話、そのネットワークの中で形成されるコンセンサスの方向性、課題や問題に対する調整である。 例えば、ロシアの人権問題に対する措置として、アメリカの連邦議会が主導した通称マグニツキー法と対象をロシア以外にも拡大したグローバル・マグニツキー法が、国境を超えた政策対話や協力的ネットワークを通じて展開されてきたこと、高まるナショナリズムと右傾化する市民社会が権威主義化を後押ししている諸外国において、民主化支援団体が「創造的な」取り組みを模索し、新たに試みていることに着目している。 研究成果の一部は国内外の学会や一般向けの講演会等で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費とは別の助成金による研究調査にも従事したため、科研費による本研究の計画を厳密に遂行することができなかった面もある。だが、そちらの研究調査は本研究と関連する研究課題であったため、それは本研究の進展を妨げるものでは一切なく、当初の計画から遅れることなく、必要な情報の入手とその分析を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究の総括と研究成果の公表に重点を置いていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
他機関による研究助成金を得て、その資金を財源とする調査を実施した他、勤務先の短期在外研究の機会を活用した調査が可能であったため、当初計画していた科研費による出張計画を変更する必要があった。したがって、そのために生じた次年度使用額は調査及び成果発表の旅費として使用する予定である。
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備考 |
佐藤真千子「2016年大統領選挙(トランプ政権誕生)に際して、中立的・超党派のシンクタンクはどう作用したか」(早稲田大学)2017年3月29日 佐藤真千子「オバマ後のアメリカ」(富士市民大学)2017年6月7日
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