冷戦期における欧州と米国の安全保障政策にとって重要な役割を果たしたCSCE(欧州安全保障協力会議)について、主に1973年のヘルシンキ会談へのバチカンの参加を通じて「人間の安全保障」の議論にどう関与したかを明らかにした。東欧やソ連で弾圧されていた宗教や信仰の自由をめぐって、バチカンは1950年代の終わりから特にハンガリー、ポーランド、チェコそしてユーゴスラビアと交渉していることから、これらの諸国と二国間ではなく多国間交渉をヘルシンキ会談以降実現したことになる。 宗教という従来安全保障の概念から除外されていた問題について、人権や言論の自由という議論に信仰の自由を位置づけた研究である。
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