4か年の本研究計画は、次の4つの目的からなる。Ⅰ EUにおける先行統合制度の概容とその導入過程を解明すること(平27-28年度)、Ⅱ EUにおける先行統合制度の運用事例(国際結婚の解消に関する取決め)と言説を分析すること(同上)、Ⅲ EUにおける先行統合制度の運用事例(統一特許制度の定立)と言説を分析すること(平28-29年度)、Ⅳ 先行統合制度が国家間共同体としてのEUにもたらす影響について考察しつつ(平30年度)、これらの作業に基づいて総括を行なう(同)。 初年度にあたる平成27年度は、これらの中のⅠおよびⅡについて着手するものであり、以下の実績となった。まず、文献の収集と研究について、政治学関係図書、国際政治学関係図書、EU研究関係図書を20冊ほど購入し、基本的な動向把握に努めた。データベースについては、当初の計画通り、本務校(北九州市立大学)の学術情報予算をもってこれに充てている。 さらに、平成27年9月には海外(ブルガリア)に出張し、現地の政策決定関係者および専門家から聴取を行なった。平成28年2月には京都で開かれたEU研究会に国内出張し、EUの現状について意見交換を行なった。 当初は経費として計上しなかったものの、図書の印刷保管用にプリンタ用インクおよびA4ファイル等が必要となったために消耗品として購入した。他方、経費として計上していた日本EU学会(大阪)ならびに日本国際政治学会(仙台)への出張については、本務校の個人研究費を充てることによって対応した。
|