EU加盟国が1997年に導入することに合意した先行統合制度は、一部の諸国が他国に先んじて統合を進めることをEU基本条約の修正なく可能にするものであった。 この制度は、国際結婚を解消するための国内裁判手続きや、あるいは特許の申請・認定・紛争をめぐる対応のあり方を始め、いくつかの政策分野において近年比較的円滑に活用されるようになっている。 制度の活用に向けたEUの審議過程において欧州議会(EU議会)の関与のあり方が不明瞭であること、ならびに、活用する意義が国家間で十分に共有されない中で先行統合が企図および展開されていること等が検討されるべき課題である。
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