研究課題/領域番号 |
15K03332
|
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 教授 (80507153)
|
研究分担者 |
飯田 洋介 岡山大学, 教育学研究科, 准教授 (50506152)
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
葛谷 彩 明治学院大学, 法学部, 准教授 (90362558)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 政治学 / 国際関係論 / 外交史 / 西洋史 / ドイツ / 和解 |
研究実績の概要 |
本研究は、三年間をかけて、ドイツの「和解」外交を一次史料に基づいて実証的に分析し、近現代ドイツとヨーロッパ地域秩序形成との関係について明らかにしようとするものである。二年目である本年度の目標は、定期的な研究会開催を中心とした研究交流と、資料収集を中心とした個々の研究の深化であった。本年度の研究実績は、大別して以下の四点にまとめられる。 1.研究会において、個別の研究と全体の枠組みを調和させること。具体的には、2016年8月24日と2017年3月28日に成蹊大学で研究代表者・分担者・協力者の全員が集まる研究会を開催し、個々人が研究進捗状況を報告するとともに、全体討論を行い、論点を深めた。 2.史料の収集と発信。研究代表者・分担者が協力して、ドイツ政治史関連の資料を収集した。とくに基本的な文献については、整理して、逐次研究会のウェブサイトに掲載している。また一次史料に関しては、各人がドイツ(およびイギリス)の文書館に出張して収集に努めた。 3.研究拠点のさらなる整備とネットワークの形成。とりわけ、2016年9月から研究代表者の板橋拓己が、ケルン大学歴史学科の歴史教授学・ヨーロッパ統合史講座の客員研究員を務め、ドイツの研究者との情報交換・ネットワーク形成を進めた。また、日本国際政治学会などで本研究会メンバーが積極的に研究成果を報告した。 4.個別研究の深化。上記のように全体の問題意識をすり合わせつつ、各人が個別の研究を深化させた。とりわけ今年度の大きな成果としては、研究代表者の板橋による単著『黒いヨーロッパ』(吉田書店刊)が挙げられる。また、研究分担者の飯田洋介や葛谷彩が、それぞれドイツ語の共著書を公刊するなど、国際的な発信も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、三年間をかけて、ドイツの「和解」外交を一次史料に基づいて実証的に分析し、近現代ドイツとヨーロッパ地域秩序形成との関係について明らかにしようとするものである。基本的な研究方法は、①重要一次史料・二次文献の収集・整理・公開、②個別研究の深化、③各研究の比較・総合である。二年目たる本年度の目標は、定期的な研究会開催を中心とした研究交流と、資料収集を中心とした個々の研究の深化であった。交付申請書の平成28年度研究実施計画と照らし合わせた以下の諸点に鑑み、本研究は、「おおむね順調に進展している」と自己評価できよう。 1.研究会合での理論枠組みと論点の共有。予定通り年2回、全体研究会合を開催し(2016年8月24日、於・成蹊大学、2017年3月28日、於・成蹊大学)、研究メンバー間で綿密な討議を行った。 2.史料の収集と発信。研究代表者・分担者が協力して、ドイツ政治史関連の史料を収集した。とくに基本的な文献については、整理して研究会ウェブサイトにアップした。また一次史料に関しては、各人がドイツ(およびイギリス)の文書館に出張して収集に努めた。 3.研究拠点のさらなる整備とネットワークの形成。とりわけ、2016年9月から研究代表者の板橋拓己が、ケルン大学歴史学科の歴史教授学・ヨーロッパ統合史講座の客員研究員を務め、ドイツの研究者との情報交換・ネットワーク形成を進めた。また、日本国際政治学会などで本研究会メンバーが積極的に研究成果を報告した。 4.個別研究の深化。上記のように全体の問題意識をすり合わせつつ、各人が個別の研究を深化させた。とりわけ今年度の大きな成果としては、研究代表者の板橋による単著『黒いヨーロッパ』が挙げられる。また、研究分担者の飯田洋介や葛谷彩が、それぞれドイツ語の共著書を公刊するなど、国際的な発信も行った。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度も、研究会合を中心とした研究交流を継続しながら、個別研究の深化に努める。また、次年度は最終年度であるため、これまでの研究蓄積を基礎に、研究成果の本格的なとりまとめ(具体的には論文集の公刊)に入る。 個別研究の分担は次の通りである。飯田洋介(研究分担者)は、19世紀後半のビスマルク外交を象徴する「勢力均衡(Gleichgewicht)」の内実を「和解」という視座から捉え直す。北村厚(研究協力者)は、ヴァイマル共和国時代のシュトレーゼマンの「協調(Verstaendigung)」外交について検討する。板橋拓己(研究代表者)は、第二次大戦後の西ドイツにおけるアデナウアーの「西側統合(Westintegration)」外交における「和解」の重要性を検討する。妹尾哲志(研究分担者)は、1960年代後半から70年代にかけてのブラントによる「東方政策(Ostpolitik)」における「和解」の位置価値を検討する。河合信晴(研究協力者)は、東ドイツ外交の視点から、ドイツ外交史における「和解」の位置価値を検討する。葛谷彩(研究分担者)は、冷戦終焉・東西ドイツ統一以降の補償問題を「政治としての和解」という視点から考察する。 以上の分担研究を進めながら、平成29年度は次の三つの作業を予定している。第一は、定期研究会合の開催である。例年通り半年に一回、視座をすり合わせ、研究の進捗状況を相互確認する研究会合を開く。第二は、ドイツ政治外交史アーカイブの構築の継続である。第三に、そして最も重要なのは、総括としての研究論文集の刊行の準備である。これに関しては、すでに2016年度の2回の研究会合で各研究者のレジュメ・原稿の相互検討会を行っており、順調に進んでいる。また、論文集を刊行する出版社もすでに決定していることを記しておきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の葛谷彩氏の出張費を次年度に回したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究分担者の葛谷彩氏が、本年度分と次年度分を合わせて出張旅費として用いる。
|