研究課題/領域番号 |
15K03333
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
泉川 泰博 中央大学, 総合政策学部, 教授 (60352449)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | 同盟 / binding strategy / wedge strategy / 動的均衡 / 国際関係理論 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、学内行政上の過大な負担とともに、体調を崩して入院などしたため、計画の実施が厳しい状況ではあったが、国内・国外の学会やシンポジウムで進行過程の研究の中核となる理論についての論文を発表することができ、概ね好意的な評価を得ることができた。具体的な発表機会は、1.北海道大学スラブ・ユーラシア研究所国際シンポジウム(2017.7月)、 2.日本国際政治学会年次大会(2017.10月)、 3.International Studies Association年次大会(2017.4月)である。 出版に関しては、拙論"Binding Strategies in Alliance Politics"を英文のトップジャーナルのひとつであるInternational Studies Quarterly(March 2018)から出すことができたのは、非常に大きな成果だと言える。また、副次的な成果として、日本の国内政治と北朝鮮政策に関する英文の論考も執筆し、これが30年度中には編著の一部としてPalgrave-Macmillanから出版されることとなった。 社会に対する貢献としては、複数回のNHK Worldへの出演(Newsroom Tokyo)を通じて、またAl Jazeera Englishでのインタビューを通じて、研究の成果から得られるアメリカ外交、東アジア情勢、および日米関係などについて情報発信ができたことが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、研究内容の発表に関しては概ね計画通りに行うことができた。ただ、学務の負担が重かったことと、自ら体調を崩したことなどのため、思ったほど研究の内容を進めることができなかった。より具体的に言えば、理論の実証部分に関しては、資料収集やそのまとめ、そして更なる論文の執筆などは、当初予定していたよりもやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本科研費の最終年度でもあり、プロジェクトの総仕上げを行いたい。具体的には、昨年度発表した論考をもとに、今後数年間に発表できる論文(英語)を執筆するとともに、さらにはそれを発展させた本の出版に向けた研究・執筆を進めて行きたい。また、その過程で、同盟・安全保障研究の実力者とのコミュニケーションをとり、彼らからのフィードバックを研究に活かしていきたい。現時点では、同盟分断戦略(wedge strategy)研究の専門家であるTimothy Crawford、新世代のリアリストとして認知されつつあるJoseph Parentなどとコンタクトをとっており、私の海外出張時に彼らを訪問、あるいは彼らが来日した際に、じっくりと当該研究について議論するなどする機会を持つ予定である。そして、本年度末までには、海外の出版社と本の出版に関するコンタクトを開始したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
過去数年間、学務負担や体調の悪化などのため予定通り研究費を消化することができなかった。とくに、海外への調査渡航の時間を確保することが困難であったこと、さらには研究に必要な書物・学術誌などを読み込む時間がなく、それらの購入を先延ばしにしたことが、要因として大きい。 本年度は、これまでに行う予定であった資料収集や海外の研究者との交流のために、海外への渡航をこれまでよりも多く予定している。また、購入を延期していた資料・書籍なども早期に入手し、研究に活かしていく予定であり、年度末までには当初予定していた分析を終了する予定である。
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