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2016 年度 実施状況報告書

日本の政権交代と対外政策過程の変化に関する理論構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K03338
研究機関国際大学

研究代表者

信田 智人  国際大学, 国際関係学研究科, 教授(移行) (80278043)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード日本外交 / 外交政策 / 対外政策決定
研究実績の概要

二年度である平成28年度には、欧米の先行理論に事例を照らし合わせて、日本の事例を対象にした独自の理論構築が必要かを研究した。元来、自民党政権下においては、政府内および与党内でボトムアップ型の政策決定過程がとられた。政府内では担当課が中心になってまとめ、実質的な決定は局議でされた。自民党内では政調会の各部会が実質的な決定機関となり、政府内と同じボトムアップの分散型の政策決定が行われていた。ところが、1993年の細川非自民政権の発足のときは、前述したように外交政策においては基本路線を継承する方針がとられたが、政策決定においては8党派からなる連立だったため、「与党代表者会議」に集権化される政策過程が展開された。その後、1994年の自社さ政権の発足が発足するとテーマごとの与党政策会議が開かれたが、やがて自民党が主導権をとるようになり、自民党政調会が政策決定の舞台となった。また、民主党政権下では、鳩山・菅政権では官僚が排除される傾向があり、政策決定に混乱が生まれたが、野田政権では官僚活用が積極的にされるようになった。
こうした展開をみると、国内政治の変化の結果、政策決定過程が変容し、その結果対外政策が転換されたというハーマンが提示する理論モデルは有用であると結論できる。その時、より多くの先行研究が指摘する、変化に対する抵抗勢力が先行研究に描写されたような動きを示したのか、各先行研究に照らし合わせて詳細を分析していった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず、初年度である平成27年度には現行の理論研究について研究を深めると同時に、第二次安倍政権における対外政策決定過程について調査研究を行った。国内政治と外交政策の関係を扱った先行研究の多くは、国内政治の変化にも関わらず外交の継続性が確保される理由について分析している。他方、国内政治の変容が対外政策に大きな変化を与えると主張した研究もあり、その国の外交プログラムや目的・問題設定、国際的位置づけで大きな変化をもたらすには、政策決定過程を変える必要があると主張している。そういったモデルを基盤にして、日本の政権交代と対外政策に関する理論を構築することにした。
二年目には研究実績の概要にも示した通り、政権交代後の対外政策過程の事例研究を行った。この結果、上記のモデルが示す通り、政権交代を行った直後には、政策決定過程が大きく変容することがわかった。要するに、新政権ができると前政権が行ってきたような政策を転換する傾向があること、とくに非自民政権においてはトップダウンの政策決定を行なう傾向があることもわかった。これらの事例研究からパターンを見出して、理論構築に向かいたい。

今後の研究の推進方策

三年目に当たる平成29年度には、日本の事例と先行研究の提示する理論の有用性を分析し、日本型の政権交代と対外政策決定過程の関係についてモデルを構築するようにする。三年目にはこれまで行ってきた調査研究の成果を実際に執筆する段階に入る。
すでに出版計画書を千倉書房に提出し、単行本の出版に同意を得ている。予定では来年春ごろまでに初校を提出し、秋までには出版することになっている。
執筆と同時に、これまで調査が足りなかった分野を補足する。ひとつは、日本デンマーク議員連盟の現地視察に参加できる機会を得た。視察に参加することによって、日本外交政策において、議員外交がどのような役割を果たしているか調査する。また、2012年の安倍政権成立後の対外政策決定について十分な調査ができていないので、この点も重点的に調査したい。

次年度使用額が生じた理由

平成28年度内に、平成29年5月に日本デンマーク議員連盟の海外視察に参加できることを会長である河野太郎氏から連絡をいただいた。議員外交の実態を調査するまたとない機会を得ることになったため、平成28年度の支出を抑制し、海外視察に使用できるようにした。

次年度使用額の使用計画

平成29年4月27日から5月9日までデンマークへの視察旅行に参加し、平成28年度から繰り越した分についても使用する予定でいる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Japan’sResponses to Chinese Military Emergence in the Asia Pacific2016

    • 著者名/発表者名
      Tomohito Shinoda
    • 雑誌名

      Asian Journal of Comparative Politics

      巻: 1:3 ページ: 299-314

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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