研究成果については、次の貢献ができたと思われる。第1に、これまでの研究は、米ソ史観、いやほとんどが米国中心史観で、冷戦起源論を書いてきたが、本研究では、積極的に英国の役割を書き込み、3国史観の導入に成功し、英国の大きな役割がなければ、冷戦勃発は語れないところまで、論じることができたと思っている。第2に、本研究は、軍部資料、とりわけ英米のそれを積極的に使用した。その結果、これまで多くの外交史家たちが見逃してきた、軍部の役割や軍事的算定の意味を、冷戦勃発に関係づけることに成功した。第3に、第2次世界大戦中から継続して来た英米軍事同盟が、どのように冷戦勃発に関連したかも明らかにできた。
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