• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

動学的環境における能力評価とインセンティブ設計

研究課題

研究課題/領域番号 15K03352
研究機関大阪大学

研究代表者

石田 潤一郎  大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (40324222)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードバンディット問題 / 非対称情報 / モラルハザード / アドバースセレクション / 最適停止問題
研究実績の概要

企業組織におけるインセンティブ体系が有効に機能するためには,労働者の能力や遂行するプロジェクトの生産性に関する評価が不可欠である.こうした要素に対する不正確な評価は,事後的に資源の配分に歪みをもたらすだけでなく,事前の労働者のモチベーションにも負の影響を与える.本研究では,この中でも動学的環境に固有の問題である,最適な評価タイミングの問題に着目し,現実に用いられている人事評価制度の理論的な側面からの評価を行う.

今年度は,多腕バンディット問題の枠組みにおける最適な評価タイミングに関して二つの研究を行った.最初の研究では,自身の能力に対して私的情報を持つ労働者とその能力に関する評価を行う評価者による最適停止問題を考察した.特に,評価タイミングに事前にコミットする場合とコミットしない場合の双方を考察し,その均衡での配分の比較を行い,このような環境における評価タイミングへのコミットメントの役割について議論している.この成果はディスカッションペーパー(Chen and Ishida, 2015, "A Tenure-Clock Problem")として公表した後,継続的な改訂を経て現在は学術誌に投稿中である.

二つ目の研究として,複数の異質なエージェントによる多腕バンディット問題の分析も行った.ここでは上述のケースとは反対に評価者がプロジェクトの質に関して私的情報を持つ状況を考察している.こうした状況においては,プロジェクトの継続が評価者の持つ情報のシグナルとなるため,均衡における動学に複雑な影響をもたらす.本研究では,均衡の特徴づけを行い,評価者のプロジェクト停止のタイミングと労働者の努力配分の関係について明らかにした.この成果もディスカッションペーパー(Chen and Ishida, 2015, "Hierarchical Experimentation")として公表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題に関わる2本の論文をディスカッションペーパーとして完成させており,計画はおおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

今後は最初の研究で考察した最適停止問題を複数のエージェントが競争する環境に拡張する予定である.

次年度使用額が生じた理由

次年度に台湾で開催予定のコンファレンスにて研究報告を行うことになっているため、その旅費を留保した。

次年度使用額の使用計画

上記コンファレンスへの旅費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Careerist Experts and Political Incorrectness2015

    • 著者名/発表者名
      Chia-Hui Chen and Junichiro Ishida
    • 雑誌名

      Journal of Economic Behavior and Organization

      巻: 120 ページ: 1-18

    • DOI

      10.1016/j.jebo.2015.09.023

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 自己認知とインセンティブ設計:行動経済学の視点から2015

    • 著者名/発表者名
      石田潤一郎
    • 雑誌名

      産業・組織心理学研究

      巻: 28(2) ページ: 89-101

  • [学会発表] Hierarchical Experimentatoin2015

    • 著者名/発表者名
      Junichiro Ishida
    • 学会等名
      Chulalongkorn-Osaka Joint Workshop
    • 発表場所
      Chulalongkorn University, Thai
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-02
  • [学会発表] Hierarchical Experimentatoin2015

    • 著者名/発表者名
      石田潤一郎
    • 学会等名
      OEIO Summer Conference
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2015-08-12 – 2015-08-13
  • [学会発表] Hierarchical Experimentatoin2015

    • 著者名/発表者名
      石田潤一郎
    • 学会等名
      ミクロ経済学ワークショップ
    • 発表場所
      慶応義塾大学
    • 年月日
      2015-06-30
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/junichiroishida/

  • [備考] 大阪大学研究者総覧

    • URL

      http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/view?l=ja&u=4888

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi