本研究では,動学的な環境における最適な評価システムの構築にむけて,多腕バンディット問題を拡張することで以下の3つの成果を得た.(1)評価を行うタイミングに事前にコミットできない場合に,労働者の努力インセンティブがどのように影響を受けるか分析を行い,評価体系におけるコミットメントの価値を明示的に導出した.(2)評価者がプロジェクトの質に関して私的情報を持つ状況において,均衡における努力水準の動学を特徴づけ,効率性への影響について明らかにした.(3)労働者が成功リスクの程度を内生的に選択できる動学シグナリングモデルにおいて,イノベーションの価値を最大にする補助金スキームを導出した.
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