研究課題/領域番号 |
15K03353
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
瀋 俊毅 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (10432460)
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研究分担者 |
高橋 広雅 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80352540)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | tangibility effect / paper money / coin / investment experiment |
研究実績の概要 |
平成27年度は、手持ち現金か現金に交換可能なポイントを用いるかの違いが経済人の合理性に影響を及ぼすか否かを明らかにするための経済実験を行った。実験は、初期保有のお金1000円が渡される際に三つの異なる形式(紙幣(千円札)・コイン(五百円玉1枚と百円玉5枚)・非現金)が単純な投資実験を通じて被験者の投資行動に影響を及ぼすか否かを検証するものであった。実験は広島市立大学で平成27年7月及び10月に行われ、208名の学部生が被験者として参加した。その結果は、初期保有が渡される形式によって被験者の投資行動が異なるものであった。まず、非現金の形式より、紙幣およびコインの形式では被験者の投資実験に参加する確率が統計的に有意に低かった。次に、投資実験に参加する被験者の投資額は、非現金の形式より、紙幣およびコインの形式のほうが有意に少なかった。これらの結果は現金を目の前に行う意志決定はそうでない場合よりも慎重になることを示唆している。このような行動の変化は現金を目の前にすることによる保有効果と損失回避によってもたらされるものと推測される。つまり、一度1000円の現金を手にした被験者はその1000円が参照点となり投資に失敗して報酬が減ることを損失と捉えそれを回避しようとしたものと考えられる。また、少額の投資割合に関して、コインの場合は紙幣の場合よりも投資額が高かったことと、被験者の投資実験に参加する確率および投資額は女性よりも男性のほうが高かったことは先行研究の結果と一致するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、先行研究の収集と整理、予備実験と本実験を実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は現金を目の前にすることで人間の不正行為を抑えるか否かに関する予備実験と本実験を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
経済実験の実施回数が当初計画よりも少なかったため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に追加的な経済実験を行い、そのための支出とする
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