研究実績の概要 |
研究の主たる目的である、飽和測度空間の一般均衡理論への応用については草稿 On Large Individual and Distributionalized Exchange Economies with Infinitely Many Commodities として進められており、ほぼ完成状態である。その他一般均衡理論の研究成果として Welfare Analysis of a Market Model with External Increasing Returns and Differentiated Commodities, Theoretical Economics Letters, 2017, 7, 63-78, 及び Market Equilibrium as a Constrained Optimal Solution, forthcoming in International Journal of Applied and Experimental Mathematics を作成し出版した。 Welfare Analysis 論文は、本研究計画において一般均衡理論と政治哲学を繋ぐ役目を果たす「外部的収穫逓増」に関する理論的な研究である。本論文では外部的収穫逓増と財差別との関係を理論モデルの中で追及している。この研究によって外部的収穫逓増の一般均衡理論における理論的基礎を固め、以下に述べる政治哲学への応用に橋渡しを行う。 その他政治哲学に関する研究成果として草稿 An Aximatic Approach to Justice as Fairness, 及び A Simple Model of the Difference Principle を作成した。前者は公正としての正義を哲学的に厳密に再構成することによってその理論的な基礎を堅固なものとすることを目指している。後者は2017年度日本哲学会に於いて発表される予定である。この結果において本質的な役割を果たすのが上記の「外部的収穫逓増」である。今年度はこの二つの草稿の完成を目指して研究を進めていきたい。
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